「新藤監督に一流の戦争批判」一枚のハガキ talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
新藤監督に一流の戦争批判
<映画のことば>
どうするって、心配してつかあさいな。
戦争を呪うて生きていきますよ。
戦争によって、徹底的にその生活を踏みにじられてしまった友子。
反対に、戦争のなかでも前線には送られることなく、九死に一生の復員を果たすことができたが、出征中に家庭が壊れてしまっていた松山。
その対比が、本当に胸に切ない一本でもありました。戦争の「酷(むご)さ」というものは、こんなところにまで析出してしまうものなのでしょう。
何と表現すれば足りるものなのか、評論子は、その言葉を思いつきません。
ただ、戦争時代を暮らし、その意味では友子には忌まわしい想い出しか残らなかったであろう家屋敷を定造・三平の遺骨とともに焼失させ、その跡地を(ブラジルにまで足を延ばさずとも)麦畑という「生産の場」に生まれ変わらせたという本作は、戦争という破壊と、麦(農耕)という創造とを対比させたラストシーンに、新藤監督に一流の戦争批判が込められているのかも知れないとも思いました。
佳作だったと思います。
評論子は。
<映画のことば>
今日はお祭りですが
あなたがいらっしゃらないので
何の風情もありません
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