劇場公開日 2010年11月20日

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レオニーのレビュー・感想・評価

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2.0鼻につく

2012年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

芸術やクリエイティビティ至上主義的な
主張が鼻につく映画でした。

芸術家の夫との子供である息子を芸術家として育てる
のに必死で、息子を溺愛。

反対に、娘は、父親が誰かも明かされず
かわいそうすぎます。

映像や、役者さんの演技とか、映画としては良かったです。

内容のレオニーの生き方に共感できずに反感する気持ち
が出てしまうのが映画の評価点数になっています。

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シンプルライフ

3.5伝記は難しい

2010年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

題名の「レオニー」とはイサム・ノグチという彫刻家の母のファーストネーム、
その母の生涯の物語り。
レオニーを演じる主演女優はエミリー・モーティマー。
彼女、「シャッター・アイランド」にも出ていた女優さんですが
気がつきませんでした。
映画の中で
十代後半から八十代ぐらいまで演じるのですが、本当の年齢は?
と思わされました。
老けた感じが様になっていて、結構なお年なのかなぁ、と思っちゃいましたが、
まだ三十代後半、それだけ上手かったという事だと思います。

レオニーの人生はかなり起伏があるドラマチックな人生だったと思う。
が、淡々とした感じにまとめあげられた印象をうけた。
これは、美しい映画に仕上げられたせいもあろうが、
人の人生を2時間程度にまとめるという伝記映画のもつ
難しい面なのだと思う。

ヨネからイサムへ二人の芸術家を創り上げたパッションを
前面に出しても良かったのでは、と思う。

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カサキショー

4.5国境無き芸術。国境無き人生。

2010年12月8日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

1年に2、3度有るか無いかの稀な頻度でこういう映画と出逢う事ができる——スクリーンを眺めているだけであらゆる感情がすぅっと流れ込み、いつの間にか心を激しく揺さぶられている、そんな映画。

松井久子という監督の名は本作で初めて知ったが、津田梅子や小泉八雲の妻も登場する数多の魅力的なエピソードを語りながらもブレず気負わず、流れるようにドラマを紡いでゆくその手腕に舌を巻く。

そして言わずもがな、主人公の学生時代から晩年までを演じ切ったE・モーティマーが素晴らしく良い。
絶対に人に媚びず、後ろを振り向かず、信じた事を最後まで貫き通すその高潔なる強さ。
単身アメリカに渡る息子に向けた彼女の言葉が良かった。
「そんな勇気、一体どこから?」
母よ、貴方からです。

一世一代の熱演で魅せた彼女が(本当は『キッド』みたいなキュートな役もまた観たいんだけどね)今年のアカデミー賞候補に挙がらないかと期待しているが……外国映画扱いだろうから無理かな。

だが『世界に通用する映画』ってのはこういう映画だと思う。
「芸術には限界が無い。国境も無い」
劇中でレオニーが口にする言葉を、この映画そのものが体現している。
鑑賞直後に感じたのは、人ひとりの人生がどれほどに巨大で、そして豊かなものであるかということ。
国境を越えて人間の中に存在する美しいもの。人生をいとおしいと思わせるもの。それが何かは説明できないが、この映画には確かにそれが息づいていると感じる。

以下、不満点。
ヨネ・ノグチがアメリカを去った理由(国際情勢は分かるが、差別に関する描写はほぼ皆無)と、レオニーを日本に呼んだ理由の不足(単なる義務感だと思うが)。
またはイサムの成長に関する描写と比較して、妹アイリスの描写が食い足りない点。イサム以上にアイデンティティの確立が困難だったろう彼女にももう少し光を当てて欲しかった。
最後のシーンも本編から遊離してるというか、作為が入り過ぎて少し夢から醒まされた心持ちにされる。無論これは作り手がどれほどこの映画・人物に強い敬愛を注いでいたかの表れでもある訳だが。

しかしそれらを差っ引いても、今年僕が鑑賞した80本以上の映画の中で、本作が5本の指に入る映画である事は疑う余地もない。
DVDではなく、是非とも映画館で鑑賞を。ゆったり腰を据え、大スクリーンが放つ感情の波にじっくり揺られていただきたい。

<2010/11/27鑑賞>

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浮遊きびなご

5.0逆境に生きた母、レオニー!美しい人間ドラマの感動を。

2010年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

天才彫刻家イサム・ノグチの母親レオニー・ギルモア。
彼女の波乱に満ちた人生は、一言では表せないほど大きくて美しい。

100年以上前に生き、常に道を切り拓いて前へと進む彼女の人生には、愛情の深さと潔さを感じる。
信念という強さ一筋で息子を育て上げたレオニーがいるからこそ、世界的に有名であるイサム・ノグチの作品が現在に至るまで私達に伝わる事が出来るのだと。

真に実のある人生を生きるため自身の信念をしっかり持つという事、幸せのあり方をこの映画を通じて教えられた。
インターネットや携帯電話が当り前の生活、情報化社会に塗れた世の中に迷い生きる自分自身に大きな影響を与えた作品だ。

「レオニー」は、美しい人間ドラマの感動をより多くの方と共有したい映画だと僕は思う。
特に若い世代に見て頂きたい。
そして、レオニーというフィルターを通して何かを感じて欲しい。。。

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MR.shushu

3.0どの台詞も詩的

2010年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

非凡な才能を持ちながら、当時、西洋でさえも異端児扱いされた女性レオニー。日本に渡って5年経っても英語で押し通す、それはあくまでも自分らしく生きる信念の現れだったのかもしれない。
天才芸術家イサム・ノグチの母でありながら、夫・米次郎のように有名でもなければ文献も少ないレオニー・ギルモアに着目した点は面白い。
当時の日本の情景が美しく、行き交う人々や、流れる空気さえ匂うようなディテールは日本人だからこそ描けるもの。ハリウッド主導で撮ったら、どこの国か判らなくなってしまうところだ。また、どの台詞も詩的で、松井久子監督自身が芸術肌であろうことが容易に推察できる。
ただ、小説や大河ドラマならともかく、2時間そこそこの映画枠に於いて、ひとりの人生を描き切るというのは容易ではない。前半はしっかりした構成でレオニーの20~30代を追うが、後半が駆け足になってしまってイサムの才能を引き出す過程も曖昧だ。伝記物だからといって必ずしも亡くなるまでを描く必要はないと思う。言葉も文化も異なる日本で、母ひとり子ひとりがどう生きたのか、そこの年代に絞って、重点的に描く手法を取れなかったものか? ましてや、札幌の作品も紹介したいと欲張ってしまうと、焦点がボケてしまう。
作者のレオニーやイサムに対するほとばしる愛情は伝わってくるのだが、一歩引いた客観的な眼を失ってはならない。
敢えて切る、勇気もいるが大胆にもなれる、そこがまさに映画作りの醍醐味だと思うのだが・・・。

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マスター@だんだん

5.0イサム・ノグチの母親の壮絶な人生を描いた美しく、切なく、ドラマティックな作品。

2010年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

数々の彫刻や'あかり(Akari)'や'ノグチ・テーブル'といったインテリア・デザイン、さらに札幌のモエレ沼公園など、公園などのデザインを手掛けたことで知られるイサム・ノグチは世界的なアーティストとして高く評価されていますが、その母親について語られることはこれまであまりありませんでした。

この『レオニー』は、イサム・ノグチの母親のレオニー・ギルモアの知られざる壮絶な人生を描いた物語。美しく、切なく、ドラマティックな作品です。

イサム・ノグチという世界的にもユニークで希有なアーティストがあの時代にどのように生まれたのか。その一端が垣間見れます。ただ、決して難解な作品ではなく、1人の魅力的な人物が壮絶な人生を潔く、自由に生き抜いたストーリーとして、多くの人がいろいろな面で共感したり、感動したりできるんじゃないでしょうか。

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TR2

5.0ガツンと来る久々に映画らしい映画

2010年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映像が美しい。

ややアンダーがかった印象的な照明は名人と呼ばれる佐野武治によるもので、その光と影から生まれるどこか懐かしいような格調高い独特の映像美は、フランス映画「エディット・ピアフ」でセザール賞撮影賞を受賞した永田鉄男ならではのたゆたうようなあえかな世界。
この永田カラーにしばらく浸ってしまうと、他の映画がみんなビカビカ下品に見えてしまうのが難点だが。

そこに、「ネバーランド」でアカデミー賞作曲賞を受賞したヤン・A.P.カチュマレクのドラマティックでありながら大仰にならない哀愁漂う音楽が絡み、一瞬で惹きこまれる。

さらに、時代考証にぴったり沿った衣装が織り成す空気感のリアルさ。
洋装は「カラー・パープル」でやはりオスカーをとったアギー・ロジャース、和装は黒澤和子。すごいはずだ。衣装が生きているから登場人物も生ききっている。

そんなスタッフを束ねているまだ無冠の松井久子監督という人に驚く。

英国詩人キーツの詩の韻と恋人が縫うフリルが響き合うことを示唆するシーンが登場する「ブライト・スター」を撮ったジェーン・カンピオン監督の繊細さ、芸術性に勝るとも劣らない。
「レオニー」を撮った松井久子監督は彼女に匹敵すると思う。

この主人公の心の動きを追えばあまりにせつない。
しかし、人間が潔さを選択できる可能性を示したことに救われる。

日本の四季が美しい。
日本人であることに誇りを感じたくなる。

脱亜入欧以来、日本の文人たちがずっと問い続けてきてまだ見つからない答えがここにある。私たちにとってこの映画は世界的文化遺産となるだろう。

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shiorin

5.0見るたびに発見のある、男にもぜひ見て欲しい映画

2010年11月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

泣ける

知的

幸せ

世界的に有名な日本人とアメリカ人のハーフの彫刻家、イサム・ノグチの母親を描いた映画。
ならば女性向き、と思われるかもしれない。だが、そんな狭い世界観の映画ではない。

僕は自分と母との関係を考えたし、
一緒に見た女友達は、女としての母を思ったという。
「興味ないんだけど」としぶしぶついてきた男友達は、
自分の恋人とのことを考えたという。
そして教師をしている別の友人は、ひとを育てること、
それは時には導く者の信念と強引な力が必要なんだとあらためて思った、という。

優れた映画は世にあまたあるけれど、
ひとつだけ共通する黄金ルールを言わせてもらえるなら、
それは「見るたびに、違う発見がある」作品であること。

僕は試写会と、劇場で2回見る機会があった。
2回とも、違う発見があった。

こんなにあらゆる面で恵まれた映画もそうない。
役者も、スタッフも(米アカデミー賞受賞者と仏セザール賞受賞者がいる)、
脚本も、そしてロケ地の美しい映像も。。。

役者たちは、それぞれの役を自然に演じているし、
なかでもエミリー・モーティマは、
素顔の舞台挨拶を皇后様がご覧になった試写会で見たけれど、
今風の若い女性なのに、映画のなかでは、
なんと表情豊かに若いレオニーから晩年のレオニーまで、
本当にこういう人物だったのだろうと納得させてくれるほど、
素晴らしい。脇役もそれぞれ生き生きしている。
個人的にはアメリカの学校にひとりぼっちで行ったイサム役の子どもに、
なんだか胸が締め付けられる思いがした。

監督は日本人の松井久子氏。
50歳になってから映画監督をはじめた異端者だ。
経歴を見れば、異端者ぶりは、筋金入りである。

これまでの作品「ユキエ」「折り梅」では、
大手の映画会社や資本からは見向きもされず、
しかし、観た人の口コミで全国で自主上映会が催されて、
これまでに100万人も動員したとか。

そして今回の「レオニー」も大手には見向きもされなかった。
けれど、自分で、そして監督の心意気を汲んだサポーターたちの力で、
資金を集めて、7年間かけて実現した映画だそうだ。

だからなのだろうか、見る者にこびない、
おもねらない、潔い、爽やかな、
きりっとした風が作品のなかを吹き抜けるようだ。

DVD化を待たずに、ぜひ大画面の映画館で観て欲しい。
「夢は絶対にあきらめてはいけない」
映画のキャッチフレーズは、全編にみなぎっている。

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猫と海