はさみ hasamiのレビュー・感想・評価

様々な悩みを持った生徒が美容を通じて池脇さん演じる先生と共に成長していく、が主題の作品だが、正直、複雑な悩みを抱える生徒に先生がかけるセリフは感情論、根性論のように感じられ説得力がなかった。

窪田さんが演じる生徒が無断欠席した際に家庭訪問するシーンであれこれ励ます言葉をかけるが、どれも自分主体でまるで会話になっておらず、生徒の気持ちに寄り添っていない。
この態度で自分の意見だけゴリ押しされて、この複雑な事情を抱えた男の子が心を開いて自分の気持ちを話す気になるとは思えない。
どうしたらいいのかな、と心を開こうとする男の子に「頑張ってれば絶対うまくいく！」って……。

先生も未熟という表現なのかも知れないが、だったら先生自身の成長をもう少し描いて、後半に心情の変化があった方が説得力があった。
終盤でOBの子に感謝されるシーンがあるが、昔から言ってることも変わってないようだしこの人はこれからも変わらないんだろうなと。
エピソードにもまとまりがなくて全部描ききれず中途半端に感じてしまった。それぞれ目標を見つけるところがゴールということなのかも知れないが、映画として完結するなら結果まで描いて欲しかった。
なんとも起伏が少ない映画で、ドキュメンタリーを観ているような感じ。

エンドロールで実際の学生さんたちが真剣な表情で練習に打ち込んだり笑いあったりする映像が1番楽しく感じられました。