「少女たちの醜く、悲しい歌」日輪の遺産 カバンさんの映画レビュー(感想・評価)
少女たちの醜く、悲しい歌
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「出てこい ニミッツ マッカーサー 出てくりゃ地獄へ逆落とし」
このフレーズが劇中に何度も出てきますが、こんな歌を誇らしく歌う少女たちの姿があまりにも純真で、胸が詰まりました。
そして、マッカーサーの財宝隠しというミッションを外にバレないようにするため、少女たちに服毒自殺をさせるという命令が下った所から、僕の中でブワーッとなり始めました。
彼女らに本当のことは何も教えられず、ただただ愛国的に、勤労奉仕に精を尽くしていただけなのに…。
この残酷な命令に葛藤する真柴少佐と小泉中尉のやり取りの近くで、スーちゃんは眠っていたと言っていましたが、きっと聞いていたんでしょう。
ここで全ての真実を知り、8.15、偶然ひとりだけ離れていた久枝以外の少女たちで、未来のために宝物を守ろうと“鬼になる”と決められたのですね…。
最後に、スーちゃんの呼びかけで幕を閉じますが、あれは反則でしょう!!本気で泣いてしまったじゃないか!!映画が終わってからしばらく放心状態で、心のバランスを戻すまで時間が掛かりました。
この映画は戦争モノですが、銃撃や爆撃といったシーンはありません。あるミッションをめぐる重厚な人間ドラマといった感じでしょうか。
今の日本は、戦時下とは別の意味で、しかし同じように酷く苦しい状況にあると思います。情熱・信念・誇り…、今の日本が失いかけているものを、この映画は教えてくれます。
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