「ハッキリ言って、キックアスの成長なぞ、どうでも良い」キック・アス 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
ハッキリ言って、キックアスの成長なぞ、どうでも良い
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元刑事の親父のスパルタ教育を受け、殺戮のプロフェッショナルに純粋培養された少女が加勢した途端、猛スピードで畳み掛ける暴力描写の波に呑み込まれ、一気に観てしまった。
本質の主役は間違いなく彼女である。
親父役が実際に私生活がブッ飛んでいる怪優ニコラス・ケイジなのも今作の危険な世界観を盛り上げている。
大ヒットした一方で、肝であるあどけない少女がマシンガンやバタフライナイフ振り回し、ヤクザ共を片っ端から皆殺しにする物語性に賛否両論となり、上映する劇場が制限された原因となったが、アメコミに付き物の超能力を一切省き、平凡な人間が正義を建て前に暴れまくる徹底した血生臭さを観客が娯楽作としてどう受け入れるかに評価の本質が掛かっていると思う。
私も当初は血塗れバトルに戸惑ったが、モラルを無視した狂気の振り切り方に圧倒された。
正にコワイモノ無しの映画と云えよう。
憎しみより羨望が濃いヒールと殺戮にシビアなベビーフェイスと両者の複雑な心理状態が入り混じった背景も、狂った現代社会とリアルにリンクさせ、感慨深くさせている。
殺しが画にキマるのはコミックの中だけにして欲しいなぁ…とリビア内戦のニュースと共に呟く春の頬杖であった。
では、最後に短歌を一首
『英雄や 地獄へ集ひ 網燃(萌)ゆる 牙の目覚めに 纏ふ血飛沫(しぶき)』
by全竜
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