「2010年、最後の最後にとんでもない映画がやってきた」キック・アス uoffさんの映画レビュー(感想・評価)
2010年、最後の最後にとんでもない映画がやってきた
「素晴らしい」の一言です。
平凡な青年がヒーローに、という設定はよくありますが、このキック・アスはヒーローになっても平凡です。とある彼の長所の理由についても「若干」のリアリティによって説明されており、その配慮に心地よさを感じます。
映画の目玉としては、何といってもクロエ・モレッツ演じるヒットガールでしょう。「彼女が主役だ」と言わせんばかりの大きな魅力があり、「怖~い大人たち」相手に「正真正銘の新世代」として、大立ち回りを繰り広げる、危険さ、美しさを含んだその狂気的な勇姿にただ圧倒され、本格バトルはカタルシスを増幅してくれます。
シークエンス毎の演出も見事で、単なるギャグ映画だと思って観に行くと、良い意味で完全に裏切られます。骨太の人間ドラマが用意されています。笑いとシリアスのさじ加減は絶妙で、加えてBGMの選曲と使い方がこれまたセンス溢れるもので、内容への没入度を高めてくれます。グロテスクな表現が一部にありますが、これも度を過ぎる事はありませんので、嫌悪感は生まれないはずです。さじ加減を心得ている映画です。「このシーン、まだ終わらないでほしい!」そんな気持ちにさせられるまことに貴重な映画です。公開が小規模であるのが大変もったいない。資金調達関連の話などをみるに製作に苦労したのでしょう、しかし製作陣の魂が込められている。それこそが今年のベストを争える大傑作映画であると思います。
敢えて原作やアメコミのパロディなどに触れませんでしたが、「知らなくても楽しい」ということです。むしろアメコミを知らない人でも知っているような有名作品の引用(『バットマン』『スーパーマン』ネタ等)もあるので、「あ、もしかして!」「このネタは知ってる!」その点でも楽しめるかもしれません。もちろん熟練のアメコミファンも楽しめるのは言うまでもないでしょう。
2010年、最後の最後に、とんでもない映画がやってきた、という衝撃を受けました。
これぞ映画!この映画の名は『キック・アス』
この映画、オススメです。