「邦画アクション、1歩前進。けど、内容的には・・・」SP 革命篇 DSWさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画アクション、1歩前進。けど、内容的には・・・
今日やっと、「SP革命編」を劇場にまで足を運んで鑑賞してきた。
映画見終わった後の第一印象:これは「映画」ではなく「2時間SPドラマ」だ。
この映画はSP連続ドラマ、「野望編」「革命前日」を経てのファイナルエピソード:「革命編」である。
アクションシーンは俳優陣皆さん自分でスタントをこなして、意気込みが感じられて観ていて興奮する。武術:カリも中々かっこいいし、実践的でジェイソン・ボーンみたい!
爆発シーンは相変わらずCGなのは仕方ないが、技術が増したのかハリウッドに手伝ってもらったからか出来は上々だと思う。しかし撮り方が手持ちに凝るから、爆発シーンの全貌もよく見えず、煙しか見えないのは残念。
国会議事堂周辺で起きた爆発の後に立ち上る煙は空撮のショットでもリアルに見えてこれは良かった!
SPのメインの4人は仲のいい、家族のようなムードを持っている設定?のはずだけど、4人のやり取りは何か違和感を感じてならない。演技が下手なのか、間が悪いからなのか、演出側が下手だったのか、違和感ありありで演技しているのが見え見えなのは哀しい。
全体通して唯一演技派だったのは堤真一のみ。あの目つきは彼にしか出来まい・・・。「容疑者Xの献身」でも思ったけど、彼は上手い!!!
山本圭演じる麻生首相、終始自分の犯した罪を認めまいとするが、やっと尾形の願いが叶い、麻生首相は懺悔をする。そのシーンは山本圭の演技は栄えていた → 「良い」
映画の核の焦点が常に堤真一に寄りがちで、中々岡田君演じる井上薫のアークが見えてこない。いつの間にか最期には“頭痛”も治ったとのこと。。。(しかし・・・)
堤真一の方が主人公っぽいんだけど、一応岡田君が主人公。なんとなく頼りない後輩の井上を先輩の尾形がリードしている映画だった。
全体的な印象として他に言える事は、「長い」。とにかく「長い」。
この映画に2時間越えは長い。無駄なシーンに無駄な演出が多く見えた。“もっと早く進めよ”って何度も思ってしまった。途中何度か顔を出す“ずる休み”している官僚達、台詞を通して今回の国会立て篭り事件の過程を説明したり、政治家を卑下したりするのだが、最期の最後まで部屋を出ないし、逮捕されるところもない(いずれはされるのだろうが・・・)。演技も下手な俳優さんばかりだし、見ていて飽きて来た。緊張感はあるところはあるんだけど、こういう無駄なシーンへ飛ぶと、ぶっつんと切れる。香川照之さん演じる伊達國雄は何がしたかったのかよくわからずに劇中から退場してしまった。。。
謎ばかりが残って、終結編とはいかない出来だったと思う。
また続編作りたいのか。。。 不完全燃焼です。
政治的・社会派の作品に綺麗サッパリ完全解決な終わり方はそうないと思うけど、それでも“見終えた感”を残してくれる終わり方はある。
これだったら、テレビでやってる「外交官・黒田康作」の方が完結感はあるし楽しかった。政治に悪魔は付き物だけど、黒田康作は光明を差してくれた気がする。
それと最期に・・・、政治家や官僚上層部、警察が裏に抱える闇を、いつまで井上薫は無視していくのだろうか。井上VS尾形の裏で糸を引く連中は井上と直接対決する日は来るのだろうか。というより、そこを見たい。一介のSP捜査官がその闇に立ち向かえるのか。上の人達は邪魔な駒(井上)をいつでも消そうと思えば消せるのに、中々行動起こしてこない。今回の事件でやっと重い腰を上げて行動起こし始めるだろうが、SPシリーズは一応ここで完結してしまった。ん〜 不完全燃焼。