「大人の漫画」アデル ファラオと復活の秘薬 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の漫画
原題と同名フランスの人気コミック「アデルブランセックの並外れた冒険(Les Aventures extraordinaires d'AdèleBlanc-Sec)」(1976)を基にリュック・ベッソン監督がご乱心のような渾身のお馬鹿映画。
スーパーヒロイン:アデル・ブランセックはちょい悪でしたたかでキュート、演じるルイーズ・ブルゴワン(28)は元お天気お姉さん、毎回へんなコスチュームで登場して人気者だったようでリュック・ベッソン監督も一目ぼれ、映画の中でも当時のパロディのような、もろばれの変装ごっこが楽しめる、かと思えばミイラの前でおっぱいポロリの頭のおかしい演出によく応じたと感心しきり。ストーリーは元々漫画ですから荒唐無稽、強いて言えば「トゥームレーダー」に「ナイトミュージアム」や「ジュラシック・パーク」を混ぜたようなパロディもどき。「奇人たちの晩餐会」のようなフランス人のこじらせる笑いの誘い方は疲れます。ただ小ネタはほどほど効いていて、蘇ったファラオがルーブルの前で「素敵な広場だがピラミッドが欲しいね」と宣います(当時はガラスのピラミッドはまだありません)、ミイラたちが祖国に帰ってゆくシーンのバックにジョセフィン・ベーカーの「二つの愛(J’ai Deux Amours)が流れます、ジョセフィンはアメリカの黒人シンガーでパリで成功、「私の愛するものは二つ、祖国とパリの街」と歌って昔、大ヒットしました。この辺の小ネタはフランス人には受けたでしょう。最後の船名も意味深、エンドタイトル中にもサービスカットとリュック・ベッソン監督ノリノリでした。
評価は好き好きでしょうが、たぶん超駄作か超傑作かのどちらかで原題同様、並外れていることは間違いありませんね。