「DCだったんか」ルーザーズ alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
DCだったんか
何故かずっと気になってたコチラ。初っ端からジェンセンがバカ丸出しですが、メインストーリーは結構重い始まり方。グロくはないが割と残虐なシーン、エロシーンあり。
あと、スーパーエリートの集まりなのに名前がLOSERS(負け犬)って何でなん。
あらすじ:
エリート揃いの特殊部隊であるルーザーズは、ボリビアに潜伏する武器密売人を討伐する任務で派遣されたが、密売人の家に多数の子供が強制的に集められているのを目撃する。家ごと爆破する予定だったが、子供達の安全確保のため作戦中止を求めるものの、CIAのマックスと名乗る男に却下され、ルーザーズは命令に背いて子供達を助け出す。仕方なく自分達が逃げるための脱出ヘリに子供達を乗せ、飛び立つヘリを見送っていると、無線でヘリを撃ち落とせと命令が入り、子供達を乗せたヘリは爆破。任務をわざと失敗させ、用が済んだら全員消されるはずだったこと、子供達を自分達の身代わりにしてしまったことを知り、ルーザーズは自分達の死を偽装してマックスに復讐を誓う。町で今後のことを考えながらくすぶっていたリーダー、クレイの前に謎の女アイーシャが現れ、自分もマックスに恨みがある、復讐を手伝うため資金援助もすると申し出てくるが…
リーダーのクレイ大佐にジェフリー・ディーン・モーガン、爆薬とナイフの達人ローク大尉にイドリス・エルバ、資金提供を申し出る謎の女性アイーシャにゾーイ・サルダナ、通信・技術担当のジェンセンにクリス・エヴァンスと、結構そうそうたるメンバーなんですが、本作も日本では劇場未公開・ビデオスルーと大して売れず、続編も多分ぽしゃった。2010年公開の本作ですが、未だ続編の話は微塵も出てないし…一応DCなのにね。
といっても、売れなかった理由は見ていて何となくわかって、本編中たまに演出がチャチく感じます。わざとらしいというか。俳優より製作陣の技量?それとも監督の判断能力?が低い気がしました。脚本も演出も、「いくら何でも大雑把すぎるだろ!」と素人がぼーっと見てても感じるレベル。
原作はしっかりしてるはずですが、何か「漫画のこのシーンをこうやって撮って、で、その後はここを撮って、そんでこことくっつけて…」みたいな切り貼りを感じるくらい、スムーズさのないストーリー。格好良く見せたかったんだろうな、というシーンがほとんど動きのない、モロに漫画で集中線描かれてる1コマを実写化した!って感じで、おいコレ動画だぞ!と言いたくなる出来。
映像的にも安定しないシーンが多く、アクションシーンに迫力や動きを出したかったんだろうけど、見辛くてイライラ。よく見たいシリアスなアクションシーンほど画面がガッタガタ。カメラ振り回して撮ったんか。荒ぶりすぎだろ。
そしてメインストーリーよりも、途中や最後に挟んでくる小ネタの方が面白いという深刻な技術不足。そういう時の方がカメラを無駄に動かさないし、ショートストーリーとしてちゃんと撮れてる。でもメインストーリーになると…何か大味。大雑把。テキトー。
序盤で満員のヘリが撃ち落とされるシーンも、飛行機爆破シーンも、傍にいる奴らにほとんど爆風もなけりゃ、乗ってた子供の肉片1つも落ちてない。なのに子供が持ってたぬいぐるみは完全に形が残ったまま落ちてる。そりゃ子供の肉片なんてわざわざ見たかないけど、現実味なさすぎて何だかなぁ。その割に指でグリグリアイタターな結構グロい音する目潰しシーンは出てくるし、中盤で突然割と濃厚めなエロシーンぶち込んできやがるし。子供には見せらんないよ!!!!!
色々と問題ありな本作、楽しみにしてた分もあってか、評価はかなり厳しめ。自分が割と総合評価☆1.5とか2とかの作品でもどこかしら楽しめるタイプではある…と思ってたので、これだけの俳優を揃えて、原作も有名どころの本作を楽しめなかったのが本当に意外。やっぱ、良いシーンほど画面ガッタガタで何も見えないってのが痛い。カメラワーク初心者か?と思うレベル。いや、やりたいことはわかるんだけど…
キャラは良い。話も良い。ギャグも面白い。でもそれって原作と俳優の力ですよね。監督の力量に強い疑問。
クリス・エヴァンス繋がりで同時に借りてしまった『運命の元カレ』がコメディ系でテンポ良かったので、続けてこちらを見たら余計にテンポ悪く感じました。俳優達の演技はほんと良かったのにな。
特にジェフリー・モーガンのリーダーの風格、イドリス・エルバの「ナイフの達人」の説得力が凄い。
アイーシャ役のゾーイ・サルダナは、DVDのインタビューで監督がファンだと語るほどの実力ですが、個人的にセクシー系はあまり似合わないかもと思います。
前からガリガリなのが気になってたけど、筋肉はちゃんとあって、動きが洗練されてます。俳優になる前はバレエをやっていたそう。
確かに「強い女」の役柄には相応しいけど、よくある「男を油断させて情報を盗むセクシー系美人スパイ(注:戦いもできます)」みたいなのではなく、ゴリゴリ軍人系の方。
本作では「ちょっとセクシー系を気取ってみた」という感じで、まあキャラとしても本来はセクシー系ではないんだろうけど、クレイに近付こうとする時の艶やかな演技にぎこちなさを感じました。あのぎこちなさも演技なら天才すぎてちょっと凡人には区別つきませんが。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのガモーラの方がハマり役だったかなと思います。動きはしなやかで綺麗なんだけど、目線や表情がセクシーではないというか。
「男を油断させて~」より、どちらかというと大ボスとガチで渡り合ってくタイプ。俳優本人も学生時代、臭い爆弾を学校にぶち込んで遊んでたらしいので、素がそうなんだろうな。いいね。(何が?)
で、クリス・エヴァンスはヒーローコミックものばっか出てますね。本人は愛情深く良い人キャラと言われるのは恥ずかしいのか、共演者に褒められるたびわざと茶化してますが、何度も色んなヒーロー役(真面目系からチャラ系まで)に起用されるということは、やっぱ根が善人そうに見える顔立ちなのかな。頭悪そうな役も多いけど(急にdis)。
でも昔から、おバカキャラだったとしても根は善人の役が多いので、本人は悪役をやりたくて仕方なかったんだとか。でもキャプテン・アメリカ役を卒業した直後、舞台で悪役を演じた時は、観客からめちゃくちゃ冷たい目で見られて正直へこんだとのこと。向いてねーな、悪役。
最近では『グレイマン』でも悪役やってましたが、日本でも割と「キャプテンにしか見えなかった」というレビューがチラホラ。やっぱ善人・イケメンのイメージが一度ついてしまうと、それを振り払うのは難しいんでしょうね。
真面目からチャラ男、アホから愛情深いオッサン、主人公から脇役、どこに配置しても結構うまく溶け込む人だと思うんですが、そもそも悪人面が合わないんだよなあ。ちょっと笑うと愛嬌出ちゃうし。素が根っからの良い人で、悪いことなんて想像もできない人なのかね。それも珍しいと思うけど。
本作のジェンセン役、次作があったら意外にもっと出番増やされてたんじゃないかなと思うとかなり惜しい。『ファンタスティック・フォー』の時も、1でクリス演じるジョニー・ストーム人気が想像以上で、続編で急遽ジョニーを中心にしたストーリーになったそうな。いくら顔が良くても、演技がド下手くそで華がなかったらこんなに長期に渡って主役張りまくってないし、光る「何か」はあるんだよなあ。本人がまじで自分に自信ないのが痛い。
見終わってすぐ書いてるのに既に内容が脳から消えつつあるのでゾーイとクリスについて語っちまったよ。