「大泥棒、ベン。」ザ・タウン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
大泥棒、ベン。
大顔、ベン。のタイトルで感想を書いたのがいつだったか^^;
あ~嬉しい。また彼の大きな顔をスクリーンで拝めるなんて。
…と冗談はさておき、
そのベン君の監督第二弾は、故郷を題材に描いた犯罪もの。
いわゆるクライムサスペンス…になるところを、彼らしく淡々と
ドラマに仕上げた。物語に新味があるとか、凄いアクションとか
そんな作品ではないが、なぜだか懐かしい風情のある映画を
観た気持ちになる。つまり、斬新じゃないのだ。(いい意味で)
そもそも銀行強盗が稼業になる街、ってどんなだよ!?という
のがタイトルにもなっている、ボストンのチャールズタウンで、
全米屈指の強盗多発地区なんだそうだ。ここで生まれ育った
主人公は将来の夢を諦め、父親の稼業である強盗団を仕切り、
日夜大仕事に手を染めていた。ふとしたきっかけで人質をとり、
それが足となってFBIに追われ始めるのだが、事もあろうにその
人質と恋におちてしまう。監督・主演を務めるベンの、大きくとも
人の良さそうな顔面が幸いなのか災いなのか^^;役と合っている。
でも彼以上に周りの役者が素晴らしいのね、これ。
「ハート・ロッカー」のJ・レナーは今作でも危ない難役を好演。
TVシリーズ「マッドメン」のJ・ハムはFBI捜査官をこれまた好演。
チョイ地味なR・ホールはいたいけな女度をグンとUPさせ好演。
「旅するジーンズ~」のB・ライヴリーは危ない女をさらに好演。
まだまだ、故P・ポスルスウェイトにC・クーパーまで総てが好演。
これだけの役者を揃え、一つのテーマに仕上げた手腕というのも
大したもの。私的にベンは役者より製作側の方が向いてるかも。
脚本もいいし、至るところでちょっとしたセリフが効いている。
このタイトルと内容でラストまでの流れは想像がつくと思うが、
大勢の死から悲しい結末とみるか、ささやかな希望とみるか、
でも、多くの抜け出せないでいるその立場の人間からみれば、
まだ何かしら手段は残されていると、夢は追えるはずなんだと、
生き方そのものを変えるきっかけにはならないものだろうか。
今作でまたその才能を認めさせたベン、彼ほど大顔でなくても、
(その街を出ろ、という意味でなく)人生をやり直すきっかけを
彼は示したかったんだろうと思うと、故郷愛を感じてしまう作品。
(親友マットも才能ありますしv賞はまぐれじゃなかったのねぇ)