劇場公開日 2011年2月5日

  • 予告編を見る

「善悪がはっきりしすぎ」ザ・タウン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0善悪がはっきりしすぎ

2011年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

強盗を働くシーンは見応えがある。計画通りの迅速な行動、証拠隠滅と逃走、とくにDNAの痕跡を消すために漂白剤を使う手口はいかにも今風だ。
ただ、この作品がただのエンタメではなく人間ドラマであることを思うと、釈然としない点がいくつか出てくる。
まず主人公ダグだが、人の命を奪うことに逡巡する彼が今まで足を洗おうとしなかったのはなぜか? 今回のクレアとの出会いが大きな転機だとすれば、ダグは彼女になぜそこまで惹かれたのかが曖昧になる。
逆に粗暴なジェムだが、彼が仲間にいるかぎり、もっと早く足がつくヘマをしでかしていそうなものだ。
当然、FBIはダグの敵にあたり、強盗団の元締めはダグの離脱を許すはずもない。
この作品、言ってみれば犯罪を棚に上げて、登場人物のすべてがダグを分岐点に善い者と悪い者とにはっきり区別されてしまっている。
あまりにもはっきりしているので、裏切られるかも知れない、裏切るかも知れないといった緊張感がまるで湧き出てこない。
演出に思わぬ加速や方向転換がなく、先まで見える線路の上をひたすら安全速度で進んでいくような心地だ。
もっと乗り心地が悪くてもよかった。

マスター@だんだん