「邪念を捨てて見るべし」リメンバー・ミー(2010) largoさんの映画レビュー(感想・評価)
邪念を捨てて見るべし
最初に言っておこう、ジャンルはヒューマンドラマ、恋愛ドラマじゃないと思う
映画はしょっぱなからそれを否定してる
つきなみな恋愛映画目腺でみると映画が伝えようとしてることが半減してしまうのでご注意を
この作品の最初のポスターは、エンディングを示唆した映画のコンセプトにも合っていたものだったのにやめてしまった
結局、映画会社は興行成績を優先して、時のスターの恋愛映画として売った
映画にとってはロブ人気を利用しない方が良かったのに、、、充分スクリーニングをやったのだろうか
アメリカでは先入観で軽く見られて散々な批評を受けた
こんなことならロブには亡くなってしまったデニス・ホッパーと貴重な共演で良い勉強になったはずの
「パーツパービリオン」に出演した方が良かったかもしれない
でも母国に反して世界的な興行成績が優秀だった事は嬉しい、海外では余計な偏見がなかったからかな?
制作総指揮にロバート・パティンソンの名前がクレジットされてる
彼自身の演技力、カリスマ性は十分感じられてファンは大満足
観てて一回もトワイライトのエドワード役とダブる事がないのが驚きで
普通の人を演じることができるんだ~と感心
経験を積めば積むほど、可能性が広がる役者さんだと思った
彼をハンサムかと言うとどうなのだろう(笑)
映画の中では他の役者にはない惹くものがあるのは確かで、それが何であるかは今はまだわからず、言えない
なんかジョニー・デップのような匂いがする
こ~んな地味な作品を選んだ彼はアート系で派手なメジャー路線には興味はないそうな
ファンはいろんな映画で彼の芝居を見てみたいのにね
映画はコンセプトが「喪失」からの「再生」という重いテーマ
家族を失った、残された若者の心の痛みが、恋人との交流をきっかけに徐々に癒され
その瞬間を生きることの大切さに気づいていく、20代入り口の青年の心の機微が描かれてる
アレン・コールター監督「ハリウッド・ランド」を観ていれば、今作の演出方法は抵抗なく理解できるし
NYの学生生活も、妹とのほのぼのシーンも凄く良かった、音楽もいいんだわ
残念なのは、この映画の原作および脚本家の頭には「暴力」それも唐突な「青天の霹靂」という隠れたテーマがあったそうで
これをもう少しわかりやすく意味づけして織り込んでいたなら、エンディングも誤解されず、より深い映画になってたと思う
最後、恋人がかつて母を亡くした苦しい記憶を乗り越えるシーンがあって、あの表情がこの映画が言いたかったすべて
親と子の葛藤、グリーフケアを体験する繊細な青年の感性を感じることができる、グッドムービーお勧めです