「死んだはずの弟が、生きたまま登場する描き方に疑問を感じました。」きみがくれた未来 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
死んだはずの弟が、生きたまま登場する描き方に疑問を感じました。
主人公のチャーリーと事故で死んでしまう弟のサムとの絆の深さは、感動的でした。死んだ弟が復活して、兄弟でキャッチボールをするというスピリチュアルな展開を期待して見ていたのですが、あまりにサムがリアルすぎて、死んでいる存在に見えません。『ゴースト』のように死んだ人間と交信できるという設定なら分かりやすいのですが、キャッチボールまでできるというのは、どうなっているのか説明して欲しいです。
どうもチャーリーは、サム以外の霊とも交信できるようになっていたようなのですが、それについても、説明なし。この手の作品では、最低限どうして見えるようになったのか、伏線が必要だと思います。
その特殊能力を使って、テスを事故から救出することでふたりはラブラブな関係になり、チャーリーは弟のために封印してきた自分の人生を再び歩み始めることになるのです。でも、テスを助けたときから、オチがほぼ読める展開。もう少し、『ゴースト』のような泣きのラストを加えて欲しかったです。
とわいえ、港町を舞台に、ザックのきらきらした魅力をたっぷりと焼きつけた作品には違いありません。筋肉ムキムキに、ヨットを颯爽と操る姿は、ファンにとって垂涎の映像と言えることでしょう。
人気俳優とはいえ、ヨットのシーンに手抜きはありません。
レースのシーンのため撮影の前にヨットの猛特訓を受けたザック。小さなヨットで挑むレースは、ささいな判断ミスが大きな事故につながり易いものです。訓練1日目、インストラクターからヨットをひっくり返されるという手荒い洗礼を受けたザックは、「水中に放り出されたおかげで、恐怖を克服することができた」とコメントしたそうです。そんな真剣さと緊迫感は、ヨットレースシーンに良く出ていました。邦画『海の金魚』とは大違いです。
原作の舞台はマサチューセッツ州ですが、撮影が行われたのは自然あふれるカナダのブリティッシュ・コロンビア州。コバルトブルーの海、そして物語を彩る幻想的な森など、自然を活かした映像美も、本作の魅力といえます。