ミレニアム2 火と戯れる女のレビュー・感想・評価
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人名がややこしい
無謀にも「1」を観ずに観てしまいました。
が、登場人物の初登場シーンには名前と肩書きが画面に表示されるので
何とかついて行けました。
ですが、北欧の映画など普段全く観ないため、次から次へと現れる
聞き慣れない人名と顔が一致しないこともしばしば。
ストーリーの謎解き以前に頭が混乱してしまいました。
結局、主人公とその父親の間のエピソードと、人身売買組織とのつながりが
よく分からないまま終わってしまいましたが、「3」ではきちんと
解明されるのでしょうか?
「1」を観ていたら納得できるのかなと思っていましたが、他の方の
レビューを見てみるとそういう訳でもなさそうですね。
3部作をしっかり通しで見る機会を持ちたいと思いました。
二人の不釣合いさが素敵
スウェーデン映画。ベストセラー小説の映画化で、ミレニアム3部作のうち、2番目の作品。「ドラゴンのタットーをもつ女」の続編。
本で読むほうが、絶対おもしろい。でも映画もすごくドキドキする。2時間あまりの映画の間 心臓がずっと早鐘のように鳴りっぱなしだった。
スウェーデンは北欧福祉社会国家のモデルといわれ、ゆりかごから墓場まで国民の暮らしが 政府のあつい福祉政策で保護されている。その分だけ税金に給料の半分以上をもっていかれ 福祉社会特有のドラッグ アルコール中毒、暴力など社会の秩序を乱す犯罪は多発している。冬が長く、雪に閉じ込められる時間が長いため、精神病の発病や、家庭内暴力も多いが 徹底した個人主義のため犯罪が表に出にくい。
プロのコンピューターハッカー:リスベットと、ミレニアム編集長ミカエルはコンピューターを通じて知り合った。かつて死線を二人して掻い潜ってきた二人の間には 男と女の愛情や友情以上の 強い信頼関係が築かれている。
第1作「ドラゴンのタットーをもつ女」で、リスベットとミカエルは 人種差別に凝り固まった異常性愛の人殺しに 翻弄されたが、第2作では 国際犯罪のセックスワーカーの人身売買組織に狙われる。2つの作品を続けてみることで、リスベットが どんな悲惨な少女時代を送ってきたか なぜ彼女が無口で誰も信頼せず かたくなに孤独を守ろうとするのか、誰が彼女の本当の敵なのかが、わかってくる。
この3部作のおもしろさは パンクなハッカー女と、まじめな正義感あふれるジャーナリストのミカエルとのとりあわせの「不釣合いぐあい」にある。リスベットは一人で生きる女だから 誰も理解者も友達も協力者も必要としない。それを知っていて、ミカエルは リスベットの後を追わずに居られない。結果としてリスベットは ミカエルに助けられたり助けたりするのだけれど、そういったことでべつにリスベットは 嬉しくも何ともない。だ、けれども 居ても居なくても邪魔じゃない。そんな ふたりのコンビネーションが、とても良い「味」になっている。
ストーリーは
ロシアや東欧から送り込まれてストックホルムで働かされている セックスワーカーの人身売買を調査してきた 若いジャーナリストが ミカエルが編集長をしているミレニアムの仲間に入ってきた。若い正義感に燃えた 優秀なジャーナリストだ。
人身売買は、裏の世界で繁盛を極めているが、なかなか表に出てこない。それは 政府高官や 財界の大物が関与しているからだ。何十年も前に存在していた秘密警察まで これに関わっている。この犯罪組織を 告発することはミレニアムにとっても 命がけの大仕事になる。ミカエルは 持ち前の正義感から、熱心に組織の解明に取り組む。
ようやく、記事が仕上がったという連絡を受けたミカエルは、若いジャーナリストの家に 原稿を取りに行く。しかし一瞬の遅れで ミカエルは2人の記者の射殺死体を発見することになる。続いて リスベットの後見人の死体が上がる。死体の横に、リスベットの指紋つきの拳銃が置かれていた。
リスベットは3人の殺人容疑で指名手配される。ミカエルは リスベットの無実を確信しているが 証明することができない。リスベットは自分を破滅させようとしている犯罪組織に自分から近付いていく。なぜ、3人の殺人の罪を着せられたのか、、。巨体で先天的障害のため痛みを全く感じない 異様な殺人者に 追いつ追われつ 細身の一人の女の活躍ぶりに 息をつくひまもない。とても緊張する。
ストーリーは スリラーなので、これから読んだり観たりする人のために 話の筋をこれ以上言うことは出来ない。
映画でおもしろかったので、本を読む人も多いだろう。
パンクなハッカーが 細腕で活躍する しかもスウェーデン語で書かれた小説が どうして世界中でベストセラーになって 映画化されて高い評価をうけているのか。
ひとつには 取り上げている事件が「現代」をよく映し出しているからだと思う。コンピューター、ドラッグ、パンク、人身売買、ぺデファイル、猟奇殺人、何でもありだ。それと、国や大企業という巨大すぎて個人が太刀打ちできない力に対して、薄幸な少女時代を送った女が一人きりで 立ち向かっていく姿に魅かれるからだろう。
男に媚びない女の潔さ。
第1作の映画のなかで 好きな場面がある。リスベットが自分からミカエルのベッドに入り込み関係を持ったあと、何日かして、男のベッドで眠るリスベットの体に手をかけるミカエルに、リスベットは手を払いのけ 歯をむき出して怒る。「じゃあ、どうして自分のべっドで寝ないの?」と聞くミカエルに背を向けながら居座るリスベットを、ミカエルが優しい目ざしで笑うシーンだ。君がいてくれてもいい。居てくれなくていい。邪魔じゃない程度に居てくれるのが快適、というくらいの二人の関係が、男女の理想的な関係だろうか。 素敵だ。
単純なミステリーではない底力を感じる重厚な仕上がり
前作「ドラゴン・タトゥーの女」では、ミカエルを助けるリスベットだったが、今作では事件の当事者になる。
警察当局から追われるリスベットが、どう危機を乗り越えていくのか、見た目とは裏腹の頭脳のキレが、この作品でも主軸だ。小さな身体をいっぱいに使った行動力もリスベットの魅力。
いっぽうミカエルらは少女売春組織の実態を暴いていくが、そこに政府要人らの名前が次々と浮かび上がっていき、ここにミステリーの要素が加わる。
取材を阻止する殺人事件が起き、それを機にリスベットとミカエルがリンクする展開は巧い。リスベットの無実を信じるミカエルは、懸命に彼女の居場所を探すが、その課程でリスベットの過去が明かされていく多重構造となる。
さらに売春組織にザラという謎の男の名がちらつきはじめ、リスベットの過去とリンクしていく様は、このシリーズが単純なミステリーではない底力を感じる。
そして、なんといっても映画化の技術力の高さが目を引く。そう長くもない130分のなかで、多くの登場人物が描かれ、謎が丁寧に紐解かれていく。足を使った取材と、コンピュータを使った情報収集という、謎解きにアナログとデジタル双方の力を活かしたバランスがいいのだ。「ダ・ヴィンチ・コード」のように、推理する間もなくストーリーが進んでいく、観客不在の作りではない。決して駆け足にならず、登場人物も風格があり、重厚な仕上がりだ。
複雑な人物相関だが、主要人物が初めて登場する際、字幕で名前と肩書きが表示されるのは親切だ。難しい展開を少しでも理解しやすいようにとの配慮は、オフィシャル・サイトにも見て取れる。
今回、2を観ると、1は、富豪一族にまつわる猟奇事件を主軸にしながら、リスベットとミカエルの能力を描き、シリーズの主要な人物を脳に焼き付ける役目を持った大きなプロローグだったことが分かる。
泥まみれに血まみれになってモンスターと戦うラストが圧巻。ミカエルの正義感にも心打たれました。
スウェーデンのベストセラー小説「ミレニアム」3部作から生まれた本シリーズで魅了されるキャラクターが、天才ハッカーのリスベットです。厚底靴に革ジャン。少年のようなか細い体に彫ったタトゥーと鼻ピアスといった独特の風貌。そして男勝りの格闘をみせ、時に別人に成りすます変装と、どこにでも忍び込んで情報収集する行動力には、一流スパイも顔負けの活躍を見せるのです。
外見だけでなく、性格も複雑。悲しみをたたえ、怒りをたぎらせ、暴力や脅迫に屈することなく自前の正義を貫き、傷をさらしてまでも復讐の鉄槌を下すリスペット。誰にもこびず、信じることもなく、常に独りで立ち向かっていく気性は、ネコと言うよりも牝豹といっていいでしょう。
しかし、時に純情をにじませるタフでまっすぐな女なんです。えぐい物語のなかに、時に濃厚な描写と相まって、鮮烈な個性をほとばしらせるところが魅力なんですね。しかも割とツンデレなところもあって、そこがいいのです。
ハリウッドでもリメイクが決まっていますが、ぜひリスベットは、今のノオミ・ラパスに担当して欲しいですね。
このリスベットが、続編でも再び登場します。第1弾「ドラゴン・タトゥーの女」では社会派雑誌「ミレニアム」の発行人ミカエルとともに、40年前の少女失跡事件を解決しました。「2」 「3」はその1年後の物語。「1」で謎のまま残されたリスベットの過去が明らかになっていきます。
「1」では本格的な推理劇が中心でした。しかしサデステックで残虐な場面や露骨な性描写に度肝を抜かれました。「2」でも、過激なシーンはあるものの控えめに。黒幕のパシリとなっている金髪の大男と死闘を演じるアクション編といった趣きです。そしてさらに
「3」では、リスベットが少女時代に苦しめた卑しい男たちを断罪する法廷編となっていきます。
シリーズを通して、リスベットという特異なキャラが、どぎついストーリーと拮抗し映画のパワーと緊張感を増幅させているのが特徴です。
「ミレニアム」で少女売春の記事を担当していた記者が殺され、現場からリスベットの指紋がみつかります。テレビを見ているリスベットが、いつの間にか自分が指名手配にされていたことを知るときの驚きようは、ちょっと彼女らしくなく、ユーモラスでした。
リスベットの無実を信じるミカエルは、妹の弁護士やハッカー仲間の協力で冤罪を晴らしていきます。前作同様、警戒心の強いリスベットの単独行動は徹底していて、自分のために調査しているミカエルの活動を知りつつも、姿を現したり、情報を提供しようとしません。情報力では、リスベットが常にミカエルの先々を押さえているのに、なんで自分の協力者たちに教えないのだろうと見ている方は、いつも疑問に思うのです。まぁ、それがリスベットの流儀なんですね。
リスベットとミカエルが、殺人事件の真相に迫っていくなかで、浮上していくのがロシアマフィアによる少女売春の組織。顧客だった元公安警察のひとりから、その売春組織の黒幕として“ザラ”という旧ソ連の二重スパイの名前が浮かんできます。
その黒幕は、リスベットに関わる資料の回収と彼女の存在も消し去る指令を出していました。なぜリスベットは命を狙われなければいけなかったのか?そこに、「2」で描かれるリスベットの出生の秘密が絡んでいたのです。そして、少女のころなぜ彼女は精神科病院に収容され、後見人をつけられたのか? 全てはその黒幕の“ザラ”に繋がっていきます。
冒頭の殺人事件の真相は、リスベットのおぞましい過去、父なる男へとつながり、女性蔑視と性的虐待、その背景にある平和国家スウェーデンの暗部が浮かび上がっていきます。そして自分と同じような性的虐待を同性の少女たちに受けさせているロシアの売春組織との対決へとリスベット駆り立てるのでした。
本作は、エンターテイメント作品でありながら、女性への性的虐待を告発する骨太な社会批判を忍ばせた作品でもあるのです。
ところで、本作のストーリーの巧みさは、いろんなエピソードが意味なく林立しつつ、次第にぴたりぴたりと真相に繋がる伏線へと変わっていくことです。だから途中では、エピソードの変化について行けなくなることも。『2』では立ち上がりがずっとリスベットが旅しているシーンなので、少々退屈するかも知れません。でも後半は俄然面白くなっていきます。
一番印象だったのは、リスベットが後見人にレイプされるところを撮影したDVDをミカエルが見たとき。みるみる表情が変わっていき、全身で怒りを迸らせるミカエルに、限りない優しさを感じました。この強い正義感は、全編を貫く作品のテーマを代弁しているものだと思います。
加えてアクションシーンは見物。リスベットが対決する“ザラ”のパシリに使われた金髪の大男は、神経がマヒして痛みを全く感じない格闘家でした。そのためリスベットが通っているボクシングジム所属の世界チャンピオンが戦っても倒すことができませんでした。
この大男とリスベットの関係もネタを明かせば、驚くへべき関係だした。
そんなモンスターと対決するラストのシーンは圧巻です。泥まみれに血まみれになった、リスベットは絶体絶命のピンチに。『1』では救われたミカエルが、リスベットの救出に向かっているけど、間に合うのか?
さらに、アッと驚く黒幕“ザラ”の正体とは!!!
・・・『3』のレビューに、続きます。乞うご期待!
ダークヒロイン・リスベットがパワーアップして帰ってきた
このシリーズのウリのひとつは、何と言ってもリスベット。
その小さなカラダに潜む、驚くべき攻撃力と勇気とガッツ。
ハリウッドでのリメイクに豪華志願者が多数出たというのも肯ける話。
3部作の真ん中にあたる本作は、リスベットの生い立ちを謎解いていくエピソードゼロ的な存在。
それに対し1が純粋なミステリーで、3が法廷劇という、趣向を凝らした三部作というのが何だか新しい。
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