「【”死を敬い、生を尊ぶ”三か月間昏睡状態だった僕と、余命三カ月の彼女との初恋物語。特攻隊員として、国に準じたヒロシを演じる加瀬亮の姿も余韻を深めている作品。】」永遠の僕たち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”死を敬い、生を尊ぶ”三か月間昏睡状態だった僕と、余命三カ月の彼女との初恋物語。特攻隊員として、国に準じたヒロシを演じる加瀬亮の姿も余韻を深めている作品。】
ー 奇妙な成り行きで繋がった3人の切なくも眩しい日々を美しい映像で紡ぐ作品。
交通事故で両親を失い、自らも臨死を体験した少年イーノック(ヘンリー・ホッパー)。
以来、特攻隊員ヒロシ(加瀬亮)の霊だけが話し相手となっていた。
他人の葬儀に紛れ込む日々を送っていた彼はある日、参列していた余命3カ月の少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)と出会い、生きる尊さを学んでいく。
傍らではヒロシがそっと見守っている。ー
◆感想
・ガス・ヴァン・サント監督の作品は全て鑑賞してはいないが、私が観た作品の根底に流れているのは、”人の命は大切にしなければいけない”という、当たり前のことをキチンと描いている事だと思う。 (「エレファント」を含めて・・。)
・今作でも、両親の事故死により、赤の他人の葬儀に足を運ぶようになってしまったイーノック少年の姿を通じて、観る側は、命の大切さを再認識するのである。
- 彼は、事故の際に三か月間も昏睡状態にあったので、両親の葬儀に出席出来なかったのである。故に彼は、他人の葬儀に足を運び、死の実感を得ようとしているのである。-
・イーノックが出会った、癌病棟に”務める”少女、アナベルとの出会い。そして、彼にしか見えない、特攻隊員として若くして命を散らしたヒロシの姿。
- ヒロシが唯一の友である、イーノックが彼から学ぶお辞儀のシーン。
そして、ヒロシが恋する女性に、特攻前に書いた手紙のモノローグは、心に沁みる。
ヒロシは”お国のために”死んだわけではないのだ。ー
・イーノックと、アナベルの”三か月あれば、何でも出来る”と言う前向きな姿勢と共に、アナベルが心酔する、チャールズ・ダーウィンの本を通じた交流する姿。
そして、二人が、ハロウィンの晩に結ばれるシーン。
- 細部を敢えて描かないスタンスが、作品に気品を与えている。-
<アナベルの葬儀のシーンも、彼女の死の瞬間を敢えて描かない所が良い。
それが、却って観る側に、アナベルはイーノックの心の中に生きているという想いを残すのである。
哀しくも、命ある事の尊さを感じさせてくれる素敵な作品である。>