獄(ひとや)に咲く花のレビュー・感想・評価
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最後が蛇足
「私。性は吉田、名は寅次郎。人呼んで、後の吉田松陰で御座います。」
…って事で、吉田松陰生誕180周年記念作品は、そのまま没後150周年記念にもあたる。
密航を企てて野田獄に入れられた吉田寅次郎。そこで出逢った未亡人《高須久》との触れ合いを中心に、吉田寅次郎の生き様を描く。
全編ほぼ獄中の中が中心の為に、製作費が高騰し易い時代劇に合って場面が限定されるので、比較的に低予算で抑えられるメリットを観ていて感じた。
それにしても吉田寅次郎…お前は松岡修造か?って位に登場時の暑苦しさだ!しかも暫く続くんだからもう(苦笑)
出会った《久》が、獄中に咲く“一輪の花”って事なのだが、演じているのが目黒祐樹の実の娘近衛はな。…って事はつまり近衛十四郎の孫娘って事になる。
でも“一輪の花”としては、彼女自身はかなり地味な印象を持った。出来ればもう少し《華》の有る女優さんだったらなぁ〜…ってのが感想でした。
ところで、何回か親子共演シーンが有るが、目黒祐樹は段々とお父さんに似て来ましたねえ〜。同じ兄弟でも松方弘樹の方は、良く言えばお父さんの豪快な部分を…。悪く言えば、時代劇俳優特有の見栄っ張りな面ばかりを受け継いでしまった感が有るのですが。目黒祐樹の方は、いつの間にか父親の繊細な一部分をしっかりと受け継いでいたのですね。
そんな彼の下す最後の優しさは。慎ましやかな恋愛面も見せる作品の中で、味の有る調味料として生きていた気がします。
神山繁:勝村政信:本田博太郎といった辺りの脇役達のアンサンブルもなかなか見ものだったと思います。
なんだか古き良き日本映画の趣が有って、個人的にはなかなか良かったですね。時折ドキッとするショットも幾つか有りました。
でも最後の独白は少し蛇足だったかなぁ〜、とは思いましたが…。
(2010年4月11日スバル座)
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