「結婚したのも納得の見事にハマったギブアンドテイクっぷり」川の底からこんにちは 77さんの映画レビュー(感想・評価)
結婚したのも納得の見事にハマったギブアンドテイクっぷり
20代の監督さん(尊敬!)の作品ということで前から気になってました。なるほどこうくるか。私は好きです!
前半は本当に“気”がない映画w 後半はそのテイストをベースにしつつ“力”が加わる。口癖の「しょうがない」の響き方がだんだん変わってくる。
この着眼点を新鋭の若い石井さんが撮るのはすごく興味深かったです。ベテラン俳優さんたちも息子世代が考えたあんな台詞やこんな台詞を演じるのは面白かっただろうなー。
そしてこの作品をオンリーワンなものにしたのは主人公に満島ひかりさんを選んだことが大きいと思います。上手い下手じゃなく他のパッと思い付くような若手女優さんじゃこの雰囲気は出ない。適材適所という点では『愛のむきだし』より光ってました。
OL仲間も工場のみなさんもおばちゃんが最高にいい味出してるのは間違いないし、個性豊かな男性陣も外せないし、恋人のうざったさも加代子の可愛さも絶妙だったけどこの一番大事な味付けがなかったら凡作止まりだったかもと思うくらい。
無気力なのは自己防衛みたいなもので、前向きに開き直った人間ほど強くてかっこいい生き方はない。それは“中の下”だろうが上の上だろうが下の下だろうが同じでみんな“たいしたことない”しみんな素晴らしい。
そんな人間賛歌としてしっかり響いたのは石井夫婦タッグwだったからこそだと思います。監督のことはわからないけどきっとイメージ通りに仕上がったんだろうなあと感じました。“イメージ通り”ってたくさんの人でなにかを作る時なかなか難しいことだしましてやデビュー作でなんて本当に凄い。
【コメディ映画】として笑える場面は思ったよりなかったけど、「あたしは違う、あと月島さんも違う」が伏線だったのと、最後の「やっぱむかつく」と言って遺骨を投げるところ、それに「こらぁ!それ社長でしょうが!」と突っ込むところは、
泣きながら(お父さんが「俺が死んだらこの川に骨巻いてしじみの栄養になってでっかいしじみを取ってそれをパックに詰めて金儲けしてそれでお前ワンピースとか好きな物買え。似合うから」みたいなことを言うシーンがすごく好きだったので余計に)笑ってしまいましたw
人生、両親のことを改めて想う映画でした。