「仰天同地の迫力あるアクションがてんこ盛り。ついでにハンニバルの知略によるドンデン返しに魅了されました。」特攻野郎Aチーム THE MOVIE 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
仰天同地の迫力あるアクションがてんこ盛り。ついでにハンニバルの知略によるドンデン返しに魅了されました。
劇場版になって、アクションが空前のスケールで展開されます。
冒頭から、ドンパチ全開!まるでクライマックスシーンを見ているかのような救出シーンです。この段階では、メンバー全員は出会っておらず、ハンニバルがフェイスを助ける過程でバラカスや、シャールトと出会い仲間になっていくという特攻野郎Aチームの始まりからスタートしています。
シャールトが登場して、場面はいきなり空中戦に。これも今まで見たこともないくらいのアクロバットな飛行シーンでした。
冒頭からして、迫力満点なのにずっとこのテンションで最後までぶっ飛ばします。特に、ラストの大型貨物船を舞台にした黒幕一味との決戦シーンは、圧巻です。貨物船が爆破され、積み荷の大型コンテナが、積み木を崩れる中での銃撃戦は、息を呑む凄さ!
他にも、脱獄途中の戦闘機を打ち落とされて、墜落中に搭乗していた戦車に乗り込んで落下するシーンや、高層ビルをワイヤー一本で敵陣に窓から侵入して、殲滅する所など見所一杯です。
理屈抜きで楽しめる、真夏の痛快アクションとして、傑作だと思います。
アクションばかりではありません。諸葛孔明、勝海舟を過去世に持ち、ローマ帝国を悩ませたカルタゴの知将ハンニバル将軍と同じ名前のハンニバルは、「作戦(戦略)は奇を以ってよしとすべし」を座右の銘とするに相応しく、奇襲や知謀で鮮やかな作戦を見せてくれます。特に冒頭のフセインの残党から、米ドルのニセ札を強奪する作戦計画は、大胆不敵かつ緻密な手際の良さ。また4人が別々の刑務所に収監されたとき脱獄させるハンニバルの手腕も痛快無比です。さらに既出のラストシーンでも、貨物船の爆破というアクシデントに、一見計画が失敗したように見せかけて、実は着々と作戦どうりに黒幕一味に罠を仕掛けて、填めていく知謀がまた凄いのですね。アクションばかりが見せ場ではないのです。
さて、本筋のストーリーは、冒頭の8年後のイラク戦争末期。輝かしい戦勲を上げてきた特殊部隊「Aチーム」ことアルファ部隊のメンバー4人は「バグダッドで活動するゲリラが巨額の金と『USドル紙幣の原版』を持って逃亡しようとしている」という情報から上官の命令でゲリラを討ち、無事原版を手に入れることができました。
しかし直後に上官は爆死し、原版は何者かによって持ち去られてしまいます。Aチームは何者かによって濡れ衣を着せられ、特別刑務所での10年間の懲役を言い渡されます。しかし、CIAのリンチ捜査官からリベンジしないかという誘いに乗ったハンニバルによって、チーム全員が脱獄。当局の追跡をかわしながら、自分達をハメた黒幕に迫っていくという話です。
次第に持ち去ったと思われるアラブ過激派に迫る中で、意外な黒幕が浮上するというもの。やっぱりCIAは信用できないのかも(^^ゞ
脱獄を追う陸軍の捜査当局に加え、CIAからも命を狙われるなかで、チームは巧みにかいくぐって実行犯と原版へたどり着きます。けれども別に実行犯に指令をしていた人物がいて、そいつはどうも見方のフリをしながら、チームを填めていったようなのです。そして、さらに決して表には出てこなかった黒幕は、ハンニバルにとって信じがたい人物でした。しかしチームの濡れ衣を晴らす証人となる黒幕は殺害されてしまいます。ここからハンニバルが編み出した起死回生の作戦は、まさに「作戦は奇を以ってよしとすべし」でありました。
本作の魅力して、アクションと戦略だけでなく、チームの4人のキャラクターが、際立っていることも挙げられます。
ハンニバル大佐のしょうもない変装癖は、オリジナル同様に健在でした。
次に女たっらしのフェイスは、本作でもチームを何度も危機に落としていれています。 今回は、その恋の相手が、自分たちを捕まる陸軍リーダーとなったソーサ大尉だから、ややっこしいのです。ソーサとフェイスの関係がどう変わっていくのかも見所の一つでしょう。
そしてB.A.ことバラカス軍曹は、一段とパワプルさが目立っていました。実は、演じるクイントン・"ランペイジ"・ジャクソンは、UFC世界ライトヘビー級王者。「ランペイジ(暴れん坊)」のニックネームを持つ男。CG抜きで、閃光一発で人が吹っ飛んでしまうのも頷けます。
ところでバラカスの名物の飛行機嫌いは変わっていません。あの巨体を飛行機に乗せる度に、注射で眠らせるのは大変な手間ですね。さらに今回は、キリスト教に突然目醒めて、ガンジーの非暴力主義をすっかり信奉してものだから、途中でぜんぜん戦力にならなくなります。もう人は殺さない、暴力はふるわないというバラカスが、その意思を貫けるものかどうかも見物です。
さらにマードックは相変わらず精神病棟暮らしでした。しかし、不思議なことに作戦参加中はまともだし、操縦桿を握らせば、天才的な冴えを見せるのですね。どこまで正気なのか、全然わからない不思議な奇人でした。
最後にエンドロール終了後にも、ワンショット笑えるシーンがオマケについていますので、お席を立たないでください。