「スピルバーグの空間演出を見事に表現し切った傑作。」タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密 sigeさんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグの空間演出を見事に表現し切った傑作。
予告編を観たとき、
“なぜパフォーマンスキャプチャーを使ってCG映画にしたのか”、
“なぜアニメではなく不完全な実写もどきの3D映画にしたのか”
その理由が全く分かりませんでした。
まったく期待してませんでしたが・・・
見終わった感想は、
「この映画を“体験”させてくれたスピルバーグに感謝」です。
もう何年も忘れてしまった“手に汗握る興奮”というものを
再度体験させてくれました。
ストーリー、特に人物描写を薄味にしたことで、
(ここがこの作品に対する評価の分かれ目だと思いますが)
スピード感が増し、作品の“勢い”に繋がっているのではないでしょうか。
そして一番の目玉である宮殿からのチェイスシーンは興奮しまくって、
席から身を乗り出し、口をあんぐり開けて、不覚にも感動して泣いてしまいました。
こんなに興奮したのは「インディジョーンズ最後の聖戦」を
子供の頃映画館で観たとき以来です。
前述の不完全な実写という手法をとったことも納得しました。
アニメではチェイスシーンなどのリアリティがない、
かといって実写ではカメラの制約があるため理想の空間演出ができない。
どちらの手法をとってもここまでの興奮は味わえないでしょう。
中盤の海賊船との戦いのシーンも
船が船の上でスウィングするなんて
どうすれば思いつくのでしょうか。
「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」に対して
まるで“お手本”を示したかのよう。
最後のクレーンを手足のように操る決闘シーンも白眉な出来です。
2ndディレクターがピーター・ジャクソンだったので
“なんと贅沢な”とも思いましたが、
残りの作品もぜひスピルバーグに撮って欲しい!!
そう思って劇場を後にしました。
来週もう1回見に行きます。