「ゴア・ヴァービンスキー悪癖の間延びあり」ランゴ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴア・ヴァービンスキー悪癖の間延びあり
全篇、マカロニ・ウエスタンのパロディーで埋め尽くされている。タイトルからして「ジャンゴ」ならぬ「ランゴ」。そのランゴは、キャラ的にはフランコ・ネロというよりはクリント・イーストウッドの色合いが強い。“西部の精霊”?もイーストウッド似だ。
幌馬車を巡っての攻防や、弾丸1発だけの闘いなどのアクションに加え、「夕陽のガンマン」や「ウエスタン」といった作品の画ヅラをパロったカットが続く。
どうせなら音楽も、もっとエンニオ・モリコーネ風のアレンジでアクを強くしてほしかった。ハンス・ジマーの色合いは消えていたが、遊びが足りない。
ロス・ロボスによるED曲“ランゴ・テーマ・ソング”は、♪ランゴーを繰り返し、あの♪ジャンゴーが耳に残った「続・荒野の用心棒」のテーマ曲が懐かしい。
行き当たりばったりのランゴのキャラもいい。見事にジョニー・デップの姿が重なる。それにしても、演じた俳優の持ち味が、まるで違うものに乗り移るエモーション・キャプチャーという技術は、つくづく凄いものだと改めて感心した。
贅沢を言えば、エンドロールの片隅に、演技中のジョニー・デップの姿を挿入してほしかった。
というわけで、概ね楽しめる。
ただ、いかんせんゴア・ヴァービンスキーという監督、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズでもそうだったが、1作目を除いて必ず間延びする時間帯がある。
今回も荒くれ者バッド・ビルと大鷲をやっつけてからあとのテンポがガクンと落ちる。水の利権が絡んだ解説部分に無理にランゴを絡ませようとするから間延びする。ジョニー・デップのオトボケが話に噛み合わず空回りしてしまうのだ。これで間を持たせようとしても無理があることは「パイレーツ・・・」で分かっているはずなのだが・・・。
時間配分がヘタなのか、余計なところで変に理屈っぽくなったり、かと思えば肝心なところを端折ったりする。この監督の間延びはいつもしんどい。90分にまとめるぐらい削ってほしい。
せっかくのクールなカメレオン・ランゴの持ち味に、監督自ら水を差すようなことをしてはいけない。
渓谷での幌馬車奪還のシーンに入って、やっと調子を取り戻す。