「どんな映画なのか一切の予備知識もないままに観ることをお勧めします」やさしい嘘と贈り物 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
どんな映画なのか一切の予備知識もないままに観ることをお勧めします
総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
かなりネタバレしていますので注意してください。
どんな内容か全く知らず、どんな題名かすら忘れたまま映画を見始めた。このいい加減さが今回はいい方向に出て、物語の設定も展開もわからないまま観ることが出来た。
この映画の描きたい主題と出演者の演技はかなり良かった。自分で自分にクリスマスプレゼントを贈る老人と、ちょっと強引な出会いでときめいて幸せそうになっていく二人。最初は孤独に生きて人生に絶望している老人と病気で先がない老婦人との、悲しい恋愛を通しての人生の締めくくりや社会の影にいる孤独な老人たちの話なのかと思っていたが、実は全然違っていた。前振りはあったので違和感は感じていた。高齢なのにもかかわらずいまだにしがない仕事をせざる得ない孤独な老人なのにその割に立派な家も車も持っているし、共同経営者という話がちらっと出てくるし、仕事をしているというのに堂々と絵を描いているし、何か変なのだ。そのような疑問は物語が進むにつれていずれ解消することになるのだが、これらが脚本のいい加減さから来ているのかどうかがまだこの時点ではわからなかった。でもここではいい意味でうまく後半につなげていてくれた。
しかし嘘をつくのならば家族だけでなくて従業員や周囲の人まで含めて徹底しなければすぐにばれてしまうはずなので、これだけでこの話が成立するのか疑問。家の中に家族の写真を堂々と飾ったままにしておいたりとか家族の痕跡がそのままなのに、最後になるまでそれらに気が付かないとか、こんな状態で一人で日常生活をおくることが出来るのか、あるいはそもそも孤独を感じさせるくらいの生活を一人でさせるべきなのかとか、いくつもおかしな部分はある。そのあたりが引っかかって物語には素直に納得は出来なかった。だけど二人の心の動きに焦点を当てて、そして彼の家族の優しさを描きたかったという主題を味わえば、十分面白いです。