劇場公開日 2010年2月27日

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「【80.4】しあわせの隠れ場所 映画レビュー」しあわせの隠れ場所 honeyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【80.4】しあわせの隠れ場所 映画レビュー

2025年8月22日
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映画『しあわせの隠れ場所』(2009)批評
作品の完成度
実話に基づいた物語を温かく描き出したヒューマンドラマの傑作。裕福な白人家庭が貧しい黒人少年を家族として迎え入れるという、感動的なストーリーラインが観客の心を深く掴む一方、批評家からは物語の単純さや美談化を指摘する声も見られた。しかし、監督ジョン・リー・ハンコックの丁寧な演出と、サンドラ・ブロックの魂のこもった演技が、物語に説得力と奥行きを与えている。特に、人種や貧富の差といった重いテーマを、過剰な感傷に頼らず、家族の日常的な交流を通して描く手腕が見事。感動の押し付けがない自然な流れが、普遍的な家族愛や人間愛の尊さを浮き彫りにした。全体として、観客に深い共感を呼び起こし、心温まる後味を残す、高い完成度を持つ一作。
監督・演出・編集
監督は『オールド・ルーキー』のジョン・リー・ハンコック。彼の演出は、物語の核心である人間関係をじっくりと見せることに注力。マイケルとテューイ家の人々の間に生まれる心の交流を、細やかな表情や仕草を通して丁寧に紡ぎ出す演出力。フットボールの試合シーンも迫力があり、スポーツ映画としてのエンターテインメント性も両立。編集は、感動的なシーンやユーモラスなやり取りのテンポを巧みに調整し、126分という上映時間を感じさせないスムーズな展開。特にリー・アンがマイケルを乗せて車を走らせるシーンや、フットボールの特訓シーンなどは、編集によって感情の起伏が効果的に表現されている。
キャスティング・役者の演技
キャスティングは俳優陣の実力と役にぴったりのハマり具合が際立つ。それぞれの役者が、実在の人物に息吹を与え、観客の心に強く訴えかける演技を披露。
* サンドラ・ブロック(リー・アン・テューイ役)
貧しい少年マイケルを家族に迎え入れるテューイ家の母親リー・アンを演じた。社交界の華やかな女性でありながら、強い信念と正義感を持ち、時には激しい言葉でマイケルを守ろうとするパワフルな母親像を巧みに表現。ユーモアとシリアスさのバランスが取れた演技が、リー・アンというキャラクターに深い人間味を与えた。この演技は高く評価され、第82回アカデミー賞主演女優賞というキャリア初のオスカー受賞に繋がった。彼女の存在感と説得力が、作品全体の成功に大きく貢献。
* クィントン・アーロン(マイケル・オアー役)
孤独な巨漢高校生、マイケル・オアーを演じた。内気で優しい性格ながら、心に深い傷を負う複雑な役どころを見事に演じ切る。台詞が少ない分、表情や眼差し、佇まいで感情を表現する演技力。サンドラ・ブロック演じるリー・アンとの絶妙なコンビネーションが、二人の間に芽生える家族愛を深く印象付けた。彼にとって初めての本格的な演技だったにもかかわらず、その自然で繊細な表現は多くの観客の涙を誘った。
* ティム・マッグロウ(ショーン・テューイ役)
リー・アンの夫で、マイケルに温かく接するショーンを演じた。リー・アンの行動を静かに見守り、彼女を支える優しい父親像を好演。アメフトの知識でマイケルをサポートする頼もしい存在であり、過剰な感情表現を抑えた落ち着いた演技が、リー・アンの強い個性を引き立てる。家族の安定した基盤となる彼の存在が、物語のリアリティを増す重要な要素。
* ジェイ・ヘッド(S・J・テューイ役)
テューイ家の末っ子、S・Jを演じた。マイケルと最初に心を通わせる小さな存在。大きな体のマイケルを操るように指導する姿や、二人で見せるユーモラスなやり取りが、作品の明るいアクセントに。子役とは思えない達者な演技力で、マイケルの心を解き放つ重要な役割を担う。彼の存在が、マイケルがテューイ家に受け入れられる過程をスムーズに進める鍵。
* キャシー・ベイツ(ミス・スー役)
マイケルの家庭教師ミス・スーを演じた。ミス・スーは、マイケルの学業面を支えるだけでなく、彼の人生に深い影響を与える存在。アカデミー賞受賞歴のあるベテラン女優らしい、短い登場シーンでも強烈な印象を残す演技力。ユーモアを交えつつも、マイケルに真摯に向き合う温かさと厳しさを持ち合わせたキャラクターを見事に体現。
脚本・ストーリー
ノンフィクション小説『ブラインド・サイド 家族の「絆」の物語』を原作とする。実在のNFL選手マイケル・オアーの半生と、彼を支えたテューイ家との出会いを描く感動的な物語。脚本は、感動的な場面を丁寧に積み重ねつつ、人種差別や貧困といった社会的な問題もさりげなく織り込む。ただし、原作にはないドラマチックな展開や、テューイ家の美談化には一部で賛否両論。しかし、主人公マイケルが単に恵まれない少年ではなく、内なる優しさと才能を秘めた人物として描かれている点は、物語に深みを与えた。
映像・美術衣装
映像は、テネシー州の豊かな自然や住宅地の風景を美しく捉え、物語の温かい雰囲気を視覚的に表現。特にリー・アンが運転するSUVの車窓から見える夕暮れの景色は印象的。美術は、テューイ家の裕福で温かみのある内装や、フットボール場の活気ある様子など、細部にまでこだわりが見られる。衣装は、リー・アンのカラフルで洗練された服装が、彼女の個性を際立たせ、キャラクターを生き生きとさせた。
音楽
サウンドトラックは、カントリーミュージックやゴスペルなど、アメリカ南部を彷彿とさせる多様な楽曲で構成。物語の舞台設定に合った選曲が、作品の雰囲気を盛り上げる。主題歌は特にクレジットされていないが、Five for Fightingの「Chances」が映画の感動的な場面で流れ、観客の心に強く響く楽曲として広く知られている。
受賞歴
第82回アカデミー賞において、サンドラ・ブロックが主演女優賞を受賞。彼女は同年のゴールデングローブ賞や放送映画批評家協会賞でも主演女優賞を受賞し、数々の映画賞を席巻した。
作品 The Blind Side
監督 ジョン・リー・ハンコック 112.5×0.715 80.4
編集
主演 サンドラ・ブロックA9×3
助演 クィントン・アーロン B8
脚本・ストーリー 原作マイケル・ルイス
脚本ジョン・リー・ハンコック B+7.5×7
撮影・映像 アラー・キビロB8
美術・衣装
美術マイケル・コレンブリス
衣装ダニエル・オーランディB8
音楽 カーター・バーウェル A9

honey
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