劇場公開日 2010年2月27日

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「【保護本能高き、哀しき出自の黒人青年に差し伸べられた人種偏見のない優しき、白人の手。”白い壁”を周囲の手助けと自らの強い意志で乗り越えた実話ベースのヒューマン・ドラマである。】」しあわせの隠れ場所 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【保護本能高き、哀しき出自の黒人青年に差し伸べられた人種偏見のない優しき、白人の手。”白い壁”を周囲の手助けと自らの強い意志で乗り越えた実話ベースのヒューマン・ドラマである。】

2022年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館、VOD

悲しい

知的

幸せ

■プロのアメフト選手マイケル・オアーの里親になった主婦の周囲の偏見に屈せずに、自分の子として育てた姿が、印象的な作品。
 ”いやいや、出来すぎでしょう・・”と言う声は、今作は実話ベースであるという事実に払拭される作品でもある。

◆久方振りに鑑賞した感想 <Caution!内容に触れています。>

・冒頭のアメリカン・フットボールシーンで、QBを守る”The Blind Side"の姿が、描かれる映像から始まるシーンから、秀逸である。
ー 何気ない、アメリカン・フットボールの試合のシーンであるが、その迫力に込められたその後の作品展開を暗喩させる。実に巧い。-

・そして、場面は転換し、そぼ降る雨の中、肩を落として歩く、マイケル・オアーに声を掛けるリー・アン(サンドラ・ブロック)の姿。
ー 普通は、声を掛けないでしょう。裕福な白人層が、得体の知れぬ大柄の黒人青年の声を掛け、車に乗せ、家に連れて行く。
  だが、リー・アンのフランチャイズ経営で成功している旦那さんや、ヤンチャな息子”ST"や、娘コリンズも彼を普通に迎え入れる。
  このシーンだけで、テューイ家の人々が、人種偏見を持たないリベラルな思想を持っている事が分かる。-

・一晩一万$するソファーに泊めて貰ったマイケル・オアーが、翌日キチンと毛布を畳み、静にテューイ家を後にするシーンも良い。
ー リー・アンはいち早く、マイケル・オア―の人柄を見抜き、声を掛ける。”もう、帰るの?”-

・マイケル・オアーが高校で肩身の狭い生活をしている時にも、ヤンチャな息子”ST"は”笑顔だよ!”と声を掛け、彼が一人図書室で勉強をしている際に、友達と勉強していたコリンズが自分からマイケルの席に行って一緒に勉強をするシーン。
ー きっと、誹謗中傷もあるだろうに・・。このリー・アンの二人の子供たちの行動には、親から引き継いだ確かなる人種を越えた善性を感じる。
  このような細やかなシーンの積み重ねが、今作の真価を引き出している。-

・そして、マイケルが徐々に笑顔を取り戻して行くシーン。
ー だが、その陰には彼の麻薬に依存した母親や、彼が住んでいた荒んだ町に単身乗り込んでいくリー・アンの姿が、キチンと描かれているのである。-

■リー・アン一家が肩入れするミシシッピ大学への進級をするために、マイケルが努力する姿。だが、それをリー・アン一家”下心が有って行った。”と諮問されるシーン。
 悩むマイケルに対し、“貴方が進む道を決めれば良いのよ!”と諭す、リー・アンの姿。

<今作が素晴しいのは、リー・アン一家が人種の偏見なく、マイケルを受け入れ、彼の未来を切り拓いた崇高な姿である。
 例え、最初はリー・アンが、マイケルのアメリカン・フットボール選手としての実力を見抜き(映画の中でのコーチを差し置いての彼女が戦術を伝達するシーンの面白さよ。)、自分達の母校であるミシシッピ大学への進級を望んでいたとしても、最後にはマイケルの意思に、彼の行く末を委ねる姿。
 今作は2010年公開作であるが、不寛容な思想が蔓延る現在であるからこそ、観たい映画である。>

NOBU
CBさんのコメント
2022年7月14日

いい映画ですよねー

CB