「ハードル上げすぎた」しあわせの隠れ場所 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
ハードル上げすぎた
確かにいい映画だとは思うけど、ちょっとレビューの評価高すぎだと思います。雰囲気としては、寡黙な主人公が行動で周囲の人物に影響を与えていくというストーリーなので、ビリー・ボブ・ソーントンの「スリング・ブレイド」を連想しました。ま、あんな悲劇的な結末じゃなかったけど。
サンドラ・ブロックはブロンドにする意味あったのか。裕福で、養子も取れるほどの金持ちを見ただけで分からせるために、あえてそういう外見にしたのか。この場合、ブロンドに染めている金持ちを演じたのか、もとからブロンドの金持ちを演じたのかによってずいぶん違う。
「ヘルプ~心がつなぐストーリー」で、ジェシカ・チャスティンが演じたブロンド女は、不自然さと、貧乏育ちを見破られ、ブルジョアジーからいじめられていたけど、この映画では、サンドラはリーダーシップを発揮して、自分に異を唱える人間には自ら距離を取るいさぎよさ。やや現実離れした、おとぎ話みたいな人物像なのだ。しかし、どうやら実在の人物がモデルらしく、かなり「いい人物」として美化され過ぎているようだ。
付き合いのあった黒人のコミュニティに単身乗り込んでいく無鉄砲なサンドラは「私は全米ライフル協会に多額の寄付をしている。あなたたち黒人なんか怖くない。もし、家に不法侵入したら容赦しないわよ」「うちの息子に関わらないで」というタンカを切って黒人のギャングに凄んでみせる。それを見て、アメリカの病巣ともいえる銃規制にまつわる問題が一向に進展しない理由が見えた。彼ら白人にとっては、このどうしようもない不良黒人どもは、ほっとくに限るが、自分たちに危害を加えてきた時には容赦なく撃ち殺す。という覚悟が必要なのだ。
ビッグ・マイクの起こす数々の奇跡を見続けるのは、心が洗われるようで、小気味いい感動を味わえるが、やっぱりアメフトのルールが分からないと、半分も理解できない。いろんな意味で、アメリカ人にしかわからないサクセスストーリーだったと思う。
2018.2.12