NECK ネック : インタビュー
相武紗季&溝端淳平、「NECK」で体現した“姉弟愛以上恋人未満”
ホラーとコメディーが融合した映画は、過去にも何本かあった。これにラブを掛け合わせたら、いかなる化学反応が起きるのか? こんな大胆な試みに挑んだ「NECK ネック」に主演したのが、相武紗季と溝端淳平だ。昨年からドラマ、CMと共演が続き、映画では恋愛関係への発展を期待させる設定だが、2人のやり取りはどう見ても姉と弟のような雰囲気。ただ、その微妙な距離感が、ゾーッとしながらも脱力系の笑いがちりばめられた作品世界の象徴として、見事な効果をかもし出している。(取材・文:鈴木元、写真:堀弥生)
相武「すべてが、その人の想像にお任せしますみたいな脚本だったので、もうやるしかない!! という感じでしたね」
溝端「いい意味で、笑わせたいのか怖がらせたいのか分からないような脚本を読んだのは初めてだった」
2人が「NECK」の脚本を読んだ感想は似たようなものだった。映像がイメージしにくい脚本は俳優にとって厄介なものだが、それぞれが演じた杉奈、首藤(首くん)というキャラクターの魅力が、やる気を喚起したようだ。
「怖いことを考えると、本当は存在しないはずのお化けが生まれる」という仮説を基に、ネック・マシーンなる装置を作り出した大学院生の杉奈が、彼女に夢中の大学アメフト部の首くんや、幼なじみの人気ホラー作家(平岡祐太)、その編集者(栗山千明)を巻き込んでいく奇想天外な物語。そんな特異な世界を表現するにあたり、心がけたことはなんだったのだろうか。
相武「本当にマイペースで、自分の好きなことを楽しんでやっている女の子なので、楽しむ、テンションを上げて突っ走る。この作品の中の笑いって、面白くしたいなとかいう雑念があるとやりすぎちゃって、周りの空気が寒くなるので、いかに狙わずに普通のことのように、まじめに面白いことができるかっていうのが大事だったかな」
溝端「すごく真っすぐで、人懐こい弟キャラ。周りからもそういうふうに言われているし、そういう意味では(撮影現場では)一番年下だし、すごくやりやすいんじゃないかと思った。“お化け、つくろうぜ”って本気で思うことが大事で、中学生みたいな気持ちをもって、あまりリアルに考えすぎないようにした」
熱烈にアプローチする首くんと、その思いに全く気づかず研究に没頭する杉奈。そんなもどかしい関係性が、現実の2人の会話からも垣間見える。「すごくかわいい弟。こんな弟がいたらいいなと思います。杉奈と首くんも、恋というか兄弟愛みたい」という相武に、溝端も「そうっすね。僕も高校時代から相武紗季さんを見てきたので、その延長線上で役づくりに反映できた」と同意する。
2人は、昨年7~9月に放送されたフジテレビのドラマ「ブザービート~崖っぷちのヒーロー~」で共演したが、互いに別の異性に思いを寄せる役柄だったため、共演シーンはほとんどなかった。
相武「(絡みは)全くと言っていいほどなかった」
溝端「全くなかったことはないよ。おれ、覚えているもん」
相武「あら、本当?」
溝端「バスケを相武さんに教えていた」
相武「あ~、あったねえ。でも、あの1日でしょ」
溝端「そう」
相武「3カ月ちょっとの(撮影の)中の、あの1日でしょ。すごく少なくない?」
溝端「あ、そうかあ。少ないか」