海の沈黙(1947)のレビュー・感想・評価
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いつの日にか、ジャン=ピエール・メルヴィル版を…
冒頭からお詫びですが、
これは2004年のTV版を観ての投稿です。
残念ながら私は、
ジャン=ピエール・メルヴィル監督の、この
同名作品を鑑賞する機会を失っています。
父娘の無言の抵抗という骨子は変わらない
ものの、
解説では、メルヴィル版での父親が中心の
ストーリーに代わって、
2004年版では基本的に、
フランス娘とドイツ人将校との
恋と別れの物語だった。
私は、娘の恋心がドイツ人将校への
協力姿勢に変わって、
戦後にナチス協力者として丸刈りにされ
糾弾されるような立場にならなければ、
と心配して観ていましたが、
ある事件を切っ掛けに、
最後には彼女の無言の抵抗が
レジスタンスという行動の抵抗に変わる、
鉢植えをサインとして置く象徴的なシーンが
印象的ではありましたが、
唐突感は拭えないかも知れません。
この2004年版では、
メルヴィル版にあるという、
将校がパリに行ったことにより
祖国への疑念が生まれるとのエピソードが
は無く、
ドイツ人将校の心の変化は
描いていませんでした。
いつの日にかメンビル版が観られることを
期待するばかりです。
日本人には見せたくない「名作」なのか?
抵抗文学である、ヴェルコールの小説を メルヴィルが自主製作した
監督、製作、脚本、編集を ほとんど一人でこなす
これが、後に「ヌーヴェル・バーグの父」と呼ばれたりする理由である
ナチスドイツの占領下の フランス
伯父と姪の暮らす家の 二階をドイツ将校が借りることになる
毎晩 二人を訪ね、持論を展開する将校
沈黙で答える 二人
これが 続くのだが、段々 引き込まれる
フランスに 理解のある彼は「ドイツとフランスの融合」を説き、これを「幸福な結婚 」になぞらえたりする
彼の 理想論は 同僚らに否定され、絶望した彼は 前線に赴く
沈黙を続けた姪と 将校の淡い恋は、儚く終わるのである
国民同士が 理解し合えても、国と国の利害は 決して一致しないことを、レジスタンス活動をしていた
メルヴィルは 痛感したのだろう
将校のアプローチを 拒否した姪だが、
これは フランスレジスタンスの 理解と選択である
美しい言葉で語られる「理想」に身をゆだねることは できない
次に「侵略」や「破壊」が来る、からである
フランスの「レジスタンス」や「不服従の精神」を 少し理解出来たような気がする
この映画が 名作であるにも関わらず、日本で ほとんど上映されないことに
戸惑う(何故?)
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