「A SINGLE MAN」シングルマン 重金属製の男さんの映画レビュー(感想・評価)
A SINGLE MAN
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過去・現在・未来。8ヶ月前に最愛の人を亡くして以来、その三点を往来してきたある男の最後の1日が描かれている。彼が居たはずの「未来」が、悪夢から目覚める「現在」に蝕まれてゆく。死を覚悟した男にとっては、彼の居ない未来などたかが知れたものだったのだろうか。そんな折、近しい人からの電話や、自身の聴講生との会話によって、案外こんな日常も悪くないと、これから先の人生に僅かながら活力を見出してゆく、までのお話。
ひとは元来、目に見えない物を恐れる生き物だ。しかしながら、自己の精神状態の安定を図るための材料もまた、目に見えない「愛」なのである。普段は目に見えないけれど、いつだってそこにあるものなのだ。それを知らないままでいることも、ある意味で恐怖ではないだろうか。
あのトム・フォードが監督した映画ということもあり、映像表現のセンスは素晴らしいものでした。他の方も述べられていますが、過去や現在でコントラストが異なる点も面白かった。どの場面を切り取っても画になる、でもただお洒落なだけの映画ではなく、きちんと内容のある素晴らしい映画でした。
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