「恋しさが募る」シングルマン 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
恋しさが募る
トム・フォードが監督したからこそ目を引く衣装や小物、建物から家具に車など60年代を描きながら近代的にも取れるヴィジュアルに細やかな演出が垣間見える斬新な映像描写、全体的なLookの雰囲気やファッションを前面に押し出した印象よりも映画を物語として創り上げる芸術性が素晴らしくもあり。
LGBT映画として捉えるよりも生きる希望が失われつつある若くもない一人の男と女が寂しさを隠しながら孤独を共有している関係性でもあり、終わらせようとする人生の中でも微かに照らされる光と後悔を微塵も感じさせない幕の下ろし方。
その都度、出逢いに期待しながらも払拭できない過去の強い気持ちを引き摺り、揺るがないであろう選択肢がブレ始める、映画全体に暗い雰囲気を醸し出しながら陰鬱に向かう方向性には進まない、物語の中心には絡まないユーモアを含んだ他者との関係性など、一日の日常を通して生きる希望が見え隠れしながらも。。。。
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