「いろんなエリック。」エリックを探して ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんなエリック。
名画座にて。
K・ローチの作品とは思えない^^;ユーモアと笑いに満ちた作品。
かといって、一井の人間達を忘れたわけではなく社会眼も健在。
大好きなものにすがる人間の弱さと妄想から、決して人間嫌いに
なるなというメッセージ、周りを見渡して仲間に助けてもらえよと
いうアドバイス、何を考えどう行動すべきかを教えてくれる要素が
あちこちで描かれるのだが、それを担うのがE・カントナご本人^^;
私のようなサッカー音痴には初耳のようなお名前、ところが彼の
スーパープレーの数々をこれでもかと流されるとさすがに驚喜舞。
主人公であるもう一人のエリックが、どんだけ崇拝してしまうかが
確かに分かる。しかもけっこういいオトコ^^;(今の方が渋いかも)
(実のじゃない)息子のハッパを失敬していると浮かぶカントナ本人。
フランス語で格言を与え(爆)分からないと言えば英語に訳す^^;と
いう笑える行動の数々、パブや職場にいきなり現れたり(妄想でね)
もう、探さなくても現れてるじゃないのよ~といった感じ^^;
最初の妻との最悪の別れから、一人娘との交流や孫の世話、
今の息子達とのすったもんだを繰り返し、パニック障害をも抱える
まぁどうしようもない~オヤジなのだが、どこか憎めない味わい。
仲間は素晴らしいし(ミートボール最高)、サッカー中継は楽しいし、
ここで描かれるどうしようもない出来事の数々は、皆何とかできる
ことばかりなのだ。そして最悪な時こそ仲間を頼れ。とカントナは
彼を激励する。スーパーゴールは信頼できる仲間のパスがあって
こそキマるものだとカントナは力説する。確かにそうなんだろうな。
妻との復縁、息子のギャングからの更生、様々なシーンを盛り込み
すぎの感もあったが、武器に頼らないラストの襲撃には場内大爆笑。
アッパレなのは、嘘やごまかしに頼ってきた主人公がやっと現実を
見つめて足を踏ん張り、自分ではない誰かの為に懸命になれたこと。
怖い、怖い…と尻込みしていたことが、やってみたら「アレ?」という
ほど簡単だった(全てじゃないけど)っていう、その歳にしてまた一歩、
踏み出しちゃったのね…の満足感。どうにかなることとならないことは
紙一重かもしれないが、どうにもならないと嘆く前に信頼できる仲間を
頼れ!というサッカー好きなイギリス人精神がそこここに溢れた作品。
(…っていうか監督、相当お好きですね?サッカーとカントナが。^^;)