ソフィアの夜明けのレビュー・感想・評価
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夜明けを待つ世界。
名画座にて。
前述にも書いたが、震災後に今作を観たもので、思いのほか沈鬱になる。
…この街に夜明けはくるのか?そう問いかける物語だからだ。
第22回東京国際映画祭コンペ部門で最高賞の東京サクラグランプリを、
さらに最優秀監督賞と最優秀男優賞に輝いた作品だそうだが(スゴイ)
主演俳優が撮影半ばで急逝してしまったことも大きな要因ではないのか。
なるほど、彼がやっと動き出そうとしたところで尻切れトンボ的に終わる。
しかしかえってその余韻が、これからの彼とこの街の再生に繋がらないか
と、観る側は祈ってしまうのである。何ともやるせない結果になろうとも…。
ブルガリアがこれほど淀んだ空気を醸し出すとは想像もつかなかった。
この街の絶望感と震災で町を流された絶望感は一緒にすることではないが、
皆何かしらの希望をもって前に進もうと考えているのはどの人間も同じだ。
絶望に苛まれ、すべてに排他的に生きているソフィアの人々と、
絶望の淵に立ってなお、自分の足で立ち上がり、前へ歩き出そうとする人々。
もう終わりだ。なんて思ったらすべてが終わってしまう。
まだまだやってやる。の意気で立て直す力はどこで備わってきたのだろう。
いまの日本をソフィアの人々に見てもらいたい。
奥が深い
年間7~8本というブルガリアの映画事情から、この作品が出たことはすばらしい。
それに、全く縁のなかった国の映画を見れたことに感動。
内容は、極めて考えさせられるような意味深な内容であった。
ブルガリアの社会情勢を初め、この最近の世界的に蔓延している、
なんかモヤモヤとした気持ち。それが、うまく現われている映画だと思った。
最後の老人のシーンは、フリストが病院で言ってた-すべてを愛し、暖かく抱きしめる存在になりたいったこととまさに合致して、赤ちゃんで表現したところが深かった。
そして、最後にウシュルに会いに行ったのは、そういったもやもやがない、水晶=輝き=ウシュル→を求めに行ったのではないのかと感じた。
また、このフリストが実際にヘロイン中毒であったことや、撮影後に不慮の事故でなくなったことを考えるとさらに奥深い映画と感じた。
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