「夜は明けたか」ソフィアの夜明け juve0504さんの映画レビュー(感想・評価)
夜は明けたか
鑑賞後に知った
①主演の俳優(フリスト)は現実でも映画同様に、芸術家で、ヤク中などの様々な悩みを抱え、撮影終了直前に亡くなった(彼の死により映画のラストは当初の予定とは違うものとなった)
②ブルガリアでは年に10本前後しか国産の映画が産み出されない
③東京国際映画祭三冠(グランプリ・監督賞・主演男優賞)
特に①に関しては素直に「えっ、そうなの?」と言葉が出てしまうほど驚きで、これらを考えると非常に評価の難しい作品ではある。
あまり事前情報なしに、タイトルとチラシの雰囲気だけで漠然と気になっていたため、「ソウルキッチン」等に近いものも考えていたが、いやいや全然“重い”。どちらかというと「君を想って海をゆく」あたりが近い。
人生においての希望や、職への不満、体制への怒り、といったグローバルな問題を、ソフィアという東欧の一都市に落とし込んだ今作。ソウルキッチンさながらの、観光では見られないローカル感や、良質の音楽、次々に出てくる美女、といったあたりはなかなか楽しめたが、じゃあ一体ブルガリアの問題は何?という点がいまいち伝わってこなかった。
実際、現在のブルガリアでは、ネオナチ、ロマ等の人種差別問題はそこまで大きくないようで、劇中の出来事は脚色が大いにあるようだ。
そうなると、個人の“いきがい”“やりがい”といったところがメインになるのだろうが、いかんせん登場人物の“暗さ”“希望のなさ”が目立ち過ぎて、自分のような“ネアカ”人間は、「悩みすぎ」「考えすぎ」と思ってしまい、理解しかねる部分が多い。
まああのぐらい暗いほうが逆に現実的なのだろうが・・・
予定外になってしまったらしいが、あのラスト、あれで夜は明けるのだろうか(何か解決に向かうのか)といまいち納得いかず、「これで終わり??」感は大きかった。
まあ無理矢理解釈すれば、それまで何事にも無気力だった人間が自らを変えようと動き出した!ということか
つらつら述べたが、上記の②も考えると、今後への希望も含め良作だと言えるのではないだろうか。
ん~、しかしラスト直前の老人との絡みは何を暗示したものなのか??