ソフィアの夜明けのレビュー・感想・評価
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希望を見つけて歩き出そうとするフリスト・フリストフの演技に最後まで...
希望を見つけて歩き出そうとするフリスト・フリストフの演技に最後まで引き込まれる。
(撮影終了直前の彼の死によりラストシーンが変更になる)
2010年に見た映画の中で一番心に残った。
どうにもならない現実にもだえ苦しむ主人公に共感。終盤で主人公はやっと少しだけ前を向くのだけど、彼を演じた俳優が公開を待たずして亡くなったという事実を重ねると、人生とは刹那的だなと感じずにはいられない。その点、邦題も映画の内容とよくマッチしていて良い。もっと日本で知られていい映画だと思う。
ブルガリア映画だけどなんとか探してDVDを買い、劇中のブルガリアのバンドの曲もiTunesで購入した。このサウンドがまた退廃的な印象でいい。
eastern plays
2度目。ソフィアはブルガリアの首都。そしてソフィアの夜明けはブルガリア映画である前にプロジェクトを描いた映画。ソフィアはフォーキーな街なんかじゃなくて、ブルックリンばりにストリート感パッキパキの街なのだ。立派なゲットーがあって、タグもあって、デスメタルもあって、バスがあって、路面電車があって、道路にレールが走っていて、葉っぱも吸って、良い音があって、団地の隅には広い空き地もある。弟、家族、恋人、外国人、ネオナチ、でメタドン治療中の兄。一瞬の夢の大同、あるいは恐怖分子の台北のように圧倒的なフレッシュさで、都市を描く。
夜は明けたか
鑑賞後に知った
①主演の俳優(フリスト)は現実でも映画同様に、芸術家で、ヤク中などの様々な悩みを抱え、撮影終了直前に亡くなった(彼の死により映画のラストは当初の予定とは違うものとなった)
②ブルガリアでは年に10本前後しか国産の映画が産み出されない
③東京国際映画祭三冠(グランプリ・監督賞・主演男優賞)
特に①に関しては素直に「えっ、そうなの?」と言葉が出てしまうほど驚きで、これらを考えると非常に評価の難しい作品ではある。
あまり事前情報なしに、タイトルとチラシの雰囲気だけで漠然と気になっていたため、「ソウルキッチン」等に近いものも考えていたが、いやいや全然“重い”。どちらかというと「君を想って海をゆく」あたりが近い。
人生においての希望や、職への不満、体制への怒り、といったグローバルな問題を、ソフィアという東欧の一都市に落とし込んだ今作。ソウルキッチンさながらの、観光では見られないローカル感や、良質の音楽、次々に出てくる美女、といったあたりはなかなか楽しめたが、じゃあ一体ブルガリアの問題は何?という点がいまいち伝わってこなかった。
実際、現在のブルガリアでは、ネオナチ、ロマ等の人種差別問題はそこまで大きくないようで、劇中の出来事は脚色が大いにあるようだ。
そうなると、個人の“いきがい”“やりがい”といったところがメインになるのだろうが、いかんせん登場人物の“暗さ”“希望のなさ”が目立ち過ぎて、自分のような“ネアカ”人間は、「悩みすぎ」「考えすぎ」と思ってしまい、理解しかねる部分が多い。
まああのぐらい暗いほうが逆に現実的なのだろうが・・・
予定外になってしまったらしいが、あのラスト、あれで夜は明けるのだろうか(何か解決に向かうのか)といまいち納得いかず、「これで終わり??」感は大きかった。
まあ無理矢理解釈すれば、それまで何事にも無気力だった人間が自らを変えようと動き出した!ということか
つらつら述べたが、上記の②も考えると、今後への希望も含め良作だと言えるのではないだろうか。
ん~、しかしラスト直前の老人との絡みは何を暗示したものなのか??
夜明けを待つ世界。
名画座にて。
前述にも書いたが、震災後に今作を観たもので、思いのほか沈鬱になる。
…この街に夜明けはくるのか?そう問いかける物語だからだ。
第22回東京国際映画祭コンペ部門で最高賞の東京サクラグランプリを、
さらに最優秀監督賞と最優秀男優賞に輝いた作品だそうだが(スゴイ)
主演俳優が撮影半ばで急逝してしまったことも大きな要因ではないのか。
なるほど、彼がやっと動き出そうとしたところで尻切れトンボ的に終わる。
しかしかえってその余韻が、これからの彼とこの街の再生に繋がらないか
と、観る側は祈ってしまうのである。何ともやるせない結果になろうとも…。
ブルガリアがこれほど淀んだ空気を醸し出すとは想像もつかなかった。
この街の絶望感と震災で町を流された絶望感は一緒にすることではないが、
皆何かしらの希望をもって前に進もうと考えているのはどの人間も同じだ。
絶望に苛まれ、すべてに排他的に生きているソフィアの人々と、
絶望の淵に立ってなお、自分の足で立ち上がり、前へ歩き出そうとする人々。
もう終わりだ。なんて思ったらすべてが終わってしまう。
まだまだやってやる。の意気で立て直す力はどこで備わってきたのだろう。
いまの日本をソフィアの人々に見てもらいたい。
奥が深い
年間7~8本というブルガリアの映画事情から、この作品が出たことはすばらしい。
それに、全く縁のなかった国の映画を見れたことに感動。
内容は、極めて考えさせられるような意味深な内容であった。
ブルガリアの社会情勢を初め、この最近の世界的に蔓延している、
なんかモヤモヤとした気持ち。それが、うまく現われている映画だと思った。
最後の老人のシーンは、フリストが病院で言ってた-すべてを愛し、暖かく抱きしめる存在になりたいったこととまさに合致して、赤ちゃんで表現したところが深かった。
そして、最後にウシュルに会いに行ったのは、そういったもやもやがない、水晶=輝き=ウシュル→を求めに行ったのではないのかと感じた。
また、このフリストが実際にヘロイン中毒であったことや、撮影後に不慮の事故でなくなったことを考えるとさらに奥深い映画と感じた。
『そのうち、どこも同じ景色になってしまう』
ブルガリアの政治情勢やトルコとの関係など、知識不足でわからないところもあったけど、雰囲気がとても好みでした。
親子、兄弟、恋人
ちょっとした歪みで、ソリが合わなくなり、距離ができてしまう。
支配、抑圧、暴力
気づかぬうちに、権力に巻き込まれてしまう日常。
表現、葛藤、挫折
理想とのギャップに悩み、拠りどころを求める。
若き日のボブ・ディランの屈折した感じと、オーランド・ブルームの華やかさを思い起こさせる、主演のフリスト・フリストフ。
これが最後の作品とはなんとも惜しい。
貴重なブルガリアのフィルムの中でも、特に意義深い一本
日本ではどうしてもヨーグルトのイメージが先行してしまう、ブルガリア。
以下、wikiからの引用。
ブルガリアは、東ヨーロッパの共和制国家である。 バルカン半島に位置し、北にルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、南にギリシャ、トルコと隣接し、東は黒海に面している。首都はソフィア。
映画に出てくるブルガリアは、どことなく貧しげな空気を漂わせる国。
多くの人々が経済成長とともに大きな精神的ハードルに面しているような、そんな感じがする。
主人公のイツォは、かっこよくないんだけど、ついつい目で追ってしまうような不思議な魅力を持っている。
監督の友人らしいが、この撮影後に不慮の事故で命を落としている。
おそらく、映画の中のイツォは彼本人だったのだろう。
それくらいの説得力がある芝居である。
ブルガリアでは、現状年に7~8本しか映画を製作できないらしい。
その貴重なフィルムの中でも、特に意義深い1本であることは確か。
ブルガリアの観光名所は出てこないが・・・
東京国際映画祭で観覧したが、審査員の満場一致でグランプリ受賞もうなづけるぐらい観ている観客をグイグイ魅了するような、力強い作品に思えた。監督も”明○ブルガリアヨー○ルト以外にもこんなブルガリアがあるのを観てもらえれば”的な話を上映前のスピーチで答えていたが、確かに風光明媚な観光地的な映像は余り無く、主に日常生活している場面を中心に(路面電車は歴史が
ありそうな気がしたが)描かれていて、フィクションながらドキュメンタリにも似たリアルさを感じられた。夜の街中ほとんど暗い中で撮影された場面は、劇中起こる”事件”の事もあり、その後の場面でも”怖さ”結びつけて観てしまっていた。全国ロードショー公開的な展開は難しいと思うがぜひ日本でも公開して欲しい一本である。
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