劇場公開日 2010年1月30日

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「フィクションでホント助かったと胸をなで下ろしたぐらい、背筋が凍り付きましたね。」パラノーマル・アクティビティ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0フィクションでホント助かったと胸をなで下ろしたぐらい、背筋が凍り付きましたね。

2010年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 本作は、ゲームデザイナーのオーレン・ペリが監督・脚本を務めた自主製作映画でした。製作費はわずか1万5千ドル(約135万円)と低予算であり、映画全編が監督の自宅で撮影され、7日間で完了した作品。さらに編集作業は監督が所有するパソコンを使って行われたそうです。但し、ドキュメンタリーを装っている本作は、キャプションなど敢えて伏せて、観客にあたかも実際に起きた記録映画のような錯覚を抱かせることを狙っているようなのです。
 異色なのは、エンドロールがないこと。突如不気味な効果音だけのこして、暗転のままの何も写らない映像が数分続いて、いきなり終わりました。
 その直前に最大の恐怖シーンを見せつけられていた観客は、何かが起きるかも知れないと固唾を飲んでいたのに、あ!という結末には肩すかしを食らったようで、試写会場が上映中にも関わらずざわめき、終了後もありゃ何だと口々に作品の真偽を語り合っていました。

 作品自体は、夜な夜な怪奇音に悩まされていた同棲中のケイティのために、彼氏であるミカがプロ用のハンディカムを購入し、夜中に何が起こっているかを確かめるために寝室にカメラをセットすることから始まります。
 最初はドアがかすかに動くぐらいの現象で、なんだぁこの程度?と言うお気軽な感じです。ただこれは本の序の口。ホラー映画の手順を踏まえた展開で、次第にエスカレートしていきます。それでも表現としてはホラー映画のそれの方が数段センセーショナルでしょう。だけれども、素人臭い青年が手持ちカメラでライブに撮影していく映像は、ちょうどPOVで作られた『●REC』のように臨場感がたっぷりなんです。思わず実録映像として見てしまい、戦慄を感じてしまうこと請け合いです!

 途中、昼間の生活にもカメラは密着。だんだん酷くなる現象に、ケイティは憔悴しているのに、ミカの方は面白い映像が取れたと喜色満面。霊の存在を信じないミカは、好奇心から目に見えない存在を挑発しだします。
 そして友人から借りてきた降霊ボードまで持ち出して、交信しようとするのです。そのボードに勝手に火が付いて、文字が描かれるところは、ドキッとしました。

 だけれど恐い物知らずもほとほどにしないと取り返しの付かないことになります。カメラ撮影はかえってマイナスと気付いたケイティは、あくまで撮影を続行するミカと大喧嘩となります。
 結局救いを求めて霊能者を自宅に呼んできても、自分の範疇ではないと退きます。ケイティが挑発していた相手は、単なる悪霊でなく、悪魔の仕業だったのです。
 さんざん挑発した果てに二人を待ち受ける最後のクライマックスには、さすがにぎょっとする絶叫シーンが用意されていました。
 フィクションでホント助かったと胸をなで下ろしたぐらい、背筋が凍り付きましたね。このラストは。

 ということで、『●REC』同様とても恐いけれど、映画の世界にのめり込んで楽しめました。

 本作は、スティーブン・スピルバーグが本作を絶賛し、リメイク権を得たものの、完成度の高さからリメイクの必要なしと考え諦めたという逸話があるそうです。また配給元のパラマウント映画は続編の計画があることを発表しています。

流山の小地蔵