劇場公開日 2024年12月13日

「劇場で鑑賞できたことに感謝」バグダッド・カフェ 4Kレストア版 ももさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0劇場で鑑賞できたことに感謝

2025年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

萌える

サブカル的におしゃれな作品として当時もてはやされて、今で言う量産型にはなりたくなく劇場に足を運べずのちにDVDにて鑑賞した作品。
ほんと馬鹿だった。
劇場で鑑賞しなさいと、当時の自分に言いたい。

言わずもがな Jevetta Steeleが歌う『Calling You』は圧巻。
そこでかかるか~!!!!エモすぎる~!!と血がぞわわわ~と泡立ちました。
そして、砂漠の砂が覆うような粗い画像と80年代のアメリカの少し安っぽい可愛らしい色味。
あえてのツートーンとか…。
カッコよすぎる…。

ストーリーはとてもとてもファンタジーだったのだと今更気づく。
冒頭はほとんどセリフのないヤスミンとオット。
そこがもう本当にさすがだと思う。
Calling Youが映えることもさることながら、ブレンダのけたたましさも対照的に際立ってくる。
お互いの警戒心マックスの状態にもかかわらず、ヤスミンのどこかシュールレアリズムの絵画の中から出てきたような毒々しくもあり妖精チックな雰囲気もありのキャラクターが砂漠にしみこむように笑顔をもたらしてゆく。
なんて可愛らしいんだ…。
数々のおかしな小道具(ポットや旅行鞄の中身)を使いこなし、妖精の杖が起こすマジックが人々に魔法をかけてゆくファンタジーとも言えるのではないの?この作品。
ふたりの主人公の女性が自分自身に魔法をかけて笑顔で自由になってゆく様は、観客も一緒に笑顔になるのではないだろうか。

魔法瓶がマジックを携えた妖精をここバクダッドカフェに導きました。
そしてアンニュイでどこか不思議な人々の集まる砂漠のカフェは、幸せが満ちている砂漠のオアシスになりました。
それは彼女たちが自らに魔法をかけて友情と信頼と愛情に満たされたからです。
…と、絵本の最後だったらそんな文章を残したい。

また35年経って観たら新たな発見があるのかしら。
生きてたら観よう。

もも