「着地点を見失い、不時着もできずに終わる2時間」スープ・オペラ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
着地点を見失い、不時着もできずに終わる2時間
美味そうな食べ物が出てくる映画はつい観に行きたくなる。
芯はしっかりしているけれども、日々の生活はのんびりしたルイを中心に、我が人生を謳歌する叔母・トバちゃん、不思議な空気を醸し出すオッサン・トニー、自己主張のない若者・康介などを配し、スープのようなあったかい雰囲気の作品に仕上げようとの気持ちは伝わってくる。だれかと食事をともにする生活がどんなに素晴らしいことかというメッセージも分かる。
食卓にひとり増え、ふたり増え・・・と、廃墟化した遊園地ではバンドネオンを弾くオジサンひとりだったのが、クラリネットが増え、ヴァイオリンが増え、アンサンブルのかたちを成していき、あぁー、メリーゴーランドはいまにも回りそう・・・なんて演出は痛いほど分かる。
ルイの夢の中で、登場人物全員が輪になって踊り始めるに至っては、痛さを通り越して見ていて気恥ずかしい。
この手の、ほんわかムードでこれといったストーリーのない映画は、落としどころが肝要なのだが、完全に着地点を見失って、だらだらとほぼ2時間を使い切ってしまった。原作は読んでいないので分からないが、一本の映画としては消化不良だ。
平泉成演じる恋愛作家のエロじじい井上豪は面白いキャラクターだった。
また、バス発車係の品川徹も少ない出番ながら印象に残る。
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