劇場公開日 2010年3月20日

「観てるこちらが息もできない」息もできない クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5観てるこちらが息もできない

2019年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

興奮

サンフンは凄腕の取り立て屋、要はヤクザ。
親父は娘を殺し妻を死に追いやり、最近出所したばかり。
ヨニは母に先立たれ親父は呆けちゃって兄貴はチンピラ。
この、バックグラウンドが不幸な二人が主役で、
韓国ではこれって「あるある」なのかと思うとヒいてしまう。

ただ、メインテーマは「家族」。
サンフンはどれだけ憎んでも親父は殺せないし、
ヨニは馬鹿な親父だけど捨てられない。
サンフンの仲間の言葉、
「オレみたいな孤児にはそんな親父でもいて欲しい」
これがすべてなのかもしれない。

ホントは好きなのに、愛してるのに、不器用だから上手く伝えられない。
だってそれは、自分は伝えられてないから、教わってないから。
どーしたらいいか分からないからイライラする。でケンカになる。
ここに出てくる人、みんな間違ってない。正しい。
でもその正しさを通そうとするあまり、人として間違ってしまう。

ラスト前のサンフンとヨニの兄とのやりとりも、
どっちも正しいと思う。暴力は別として。
最終的には、
家族じゃなくてもホントの気持ちを伝える大事さ、と、
家族への愛と感謝を伝える大事さ、を
痛感させられる、心えぐられる作品。
家族同士が細かいところで絡んでるのは、
話としてちょっと出来すぎかな、とも思った。
例によって、韓国映画の奥深さ、半端無いです。

主演・監督・脚本のヤンイクチュン、
この人のチンピラぶりにはなかなか風情もあり、
同時に母性本能をくすぐるモノがあるなあ、と。
自分に母性は無いよ、多分。
ヨニ役の子、笑顔サイコー。化粧映えしそう。

クリストフ