劇場公開日 2010年3月20日

「逃れられない現実」息もできない 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0逃れられない現実

2018年6月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

興奮

狂気に満ち溢れた粗野で暴れん坊なサンフンよりも女子高生のヨニの方が逞しく強く人生を歩んでいる。

膝枕をされて泣きじゃくるサンフンを包み込む優しさで寄り添うヨニが泣くのを我慢しながら泣いている。

お互いの過去を打ち明けている訳ではないのに理解しているような同じ時間を共有する二人。

複雑に絡み合う人間関係にそれぞれの思いが交わり合いそうで脱線してしまう不器用な生き方。

二人のキャスト陣以外も絶妙なバランスで無駄が一切感じられないし主要人物それぞれに感情移入できる人物描写が素晴らしい。

サンフンの最後は悲しいが彼の周りは順調に動き始めてハッピーエンドかと思いきやヨニの厳しい現実は変わらずエンディングロールが流れても観ている側は息もできない余韻が残る。

万年 東一