「潔い肌肉と行動。」フローズン・リバー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
潔い肌肉と行動。
名画座にて。
公開時にかなり話題になったのを思いだす…。
タランティーノも絶賛したらしい。なるほど…と思える。
何時ぞやも書いた気がするんだけど、
「女性」監督が「女性」を描くとこうなります。の貧困版^^;
どちらの女も、愛らしさとか艶っぽさとか全てに欠けて
おり(すいません)本当に辛いのよ感が面前に迫りくる。
もうハッキリ言って皺とか肌肉を見てるだけで、辛い。
旦那に新居の資金を持ち逃げされた子持ちの中年女と、
旦那に死なれ子供を義母に獲られてしまう先住民の女。
二進も三進も行かなくなった二人の前に広がる凍川…。
うーん、設定が面白いうえに巧い。
まずハリウッドじゃ観られないような展開を見せる。
緊迫感はそこそこなんだけど絶対絶命感が莫大((+_+))
だいたい食事がポップコーンだけ。ってどうなのよ~。
どう見ても子供達は育ち盛りだぞ。
息子がお母さんに電話して「ゆで卵があったでしょ!」と
言われるシーンがあるんだけど、エ?ホントそれだけ?
(一応理由は給料前だかららしいが)いやいや、新居の
資金だけじゃなく全財産持ち逃げされたんじゃ?である。
しかし私的にツボだったのは主人公の息子で、
そんな母親を助けるべく、なぜか庭でメリーゴーランドを
直している^^;直したら売って生活費や学費の足しにする
という目的みたいだが、何か他に思いつかないのか?と
思えるほど呑気で笑える。ついにはオレオレ詐欺商法に
手を出すことになるのだが…。(ラストに乞うご期待)
違法ビジネスに手を出したとはいえ、切実な二人の姿を
見ていると(しかもこの二人、ちっとも仲良くならないし)
なぜだか悪いことをしているように思えず^^;
失敗したか…!?と思った瞬間に、二人の間の緊張感が
ピークに達し、川より凍りつくところなども秀逸。
安いお涙頂戴モノになっていないところなども素晴らしく、
女だからと甘く見るんじゃねーぞ。感も絶大。
ラストの選択には、そうきたか…というこれもまた意外で、
かといって不幸なラストでもない。
この一家には、夫が帰ってこない方がいいんじゃないか?
大きなお世話ながら原因を作った夫がまったく出てこない
ところなんて、やけに潔い^^;
(いくら凍っていてもその上を車で…つーのは怖いですねぇ)