劇場公開日 2009年11月14日

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「どこにでも独裁は存在しうる」THE WAVE ウェイヴ キンカチョウさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0どこにでも独裁は存在しうる

2016年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

たった一週間で人とはこんなに変わってしまうものなのか
わたしだったら絶対にありえない
映画中そう思っていたが
本当にわたしはカロちゃんであり続けることが出来るのだろうか

カロちゃんやウェイブを早々に離脱した人たちは
優秀で常に自分の考えを持っている
自分の考えが常に正しいと感じており、時にそれが押し付けがましい
確かに傲慢なタイプ

むしろ、ウェイブにはまっていってしまった人たちといえば
クラスで特に目立つタイプではなく、個性もない
劣等感を感じていたり、自分の居場所を見つけられていない人たち
普通の高校のドラマであったら名前さえ当てられないようなキャラクター

そして指導者である先生もまた
コンプレックスを抱えているキャラクターであることが後半でわかる

ゆえにお互いがお互いに依存する
一体感を感じることで自分たちが大きくなったような気になる
だからなんでもできてしまう
ヤンキーにケンカを売ることも、町中に落書きすることも
みんなでやれば怖くない

先生もまた同じ、本当はコンプレックスを抱えた小さな人間であったのに、
崇拝され自分の声に耳を傾けてくれる
その状態に依存する

ヒトラーもコンプレックスだらけの人間であったらしいということにつながるのだろうか

どう考えても行きすぎた結果になってしまうが
最初は小さなことだった

授業の一番初めの状態といえば
机の向きはバラバラで机の上には生徒それぞれの飲み物が
2リットルのコーラを乗せてるところは笑った
机の上にはいろんなものが乗せてあり
肘をついている生徒、携帯をいじる生徒もいるし、眠そうに机に突っ伏している生徒もいる

それが独裁の体験がはじまるとこうなる
机は全て指導者である先生の方を向き、
机の上には一切ものを出してはいけない
椅子にしっかり座って背筋を伸ばして座る
仲のいいもの同士ではなくバラバラに座らされる
みんなで同じ格好をする
喋るときは手を上げて、先生に差されたら
立ち上がってからしゃべる
朝先生が来たら、立ち上がって挨拶、敬礼
先生の指示があれば座る

これって日本の小学生から高校生までが学校でやってることとおなじじゃないの?
それに従ってきたかどうかは別として

わたしも同じような経験をしたってこと
これが行き過ぎれば独裁になりえてしまうってこと

Kiyu