「仲里依紗だけが…」ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 くんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
仲里依紗だけが…
酷い。酷すぎる。いい意味と悪い意味と両方あるが、どちらにも振り切ってはくれなかった残念な作品。前半のディストピア世界で悪と正義についての話のように突っ切るのでもなく、後半の常軌を逸した正気とは思えないコメディーを始めから突っ切るのでもない。そして特撮もの、ひいてはヒーローものとしても真面目に語ろうとする気がない。今作を作っている(仲里依紗を除く)誰にもないであろうというのが驚きだが、そんな作品。なのでメッセージもとってつけた感が恐ろしいことになっている。
「諦めなければ夢は叶う」って…そんな話してねえだろ!死んだ目で宇宙に浮かぶ哀川翔の顔でなんとか救われたような気がした。
コクリコの田中扮する元アクション俳優が、世界的にスターになった本物のゼブラーマンを知らないという設定にも驚きだ。あのキャラクターは転がしようによっては、夢を諦めた落ちこぼれが本物のヒーローに出会って誰かを守るヒーローとしての夢を取り戻す。とか、かなり面白く出来たはずなのに。とても扱いが酷かった。とにかく脚本が酷いと思った。元々、宮藤官九郎の脚本はあまり好きじゃなかったのだが、今作は好みとかとは別の問題だと確信した。こんなめちゃくちゃで愛のない本がよく書けるものだ。
三池崇史監督の外し笑いとかは、時折笑ってしまったが、とにかくバランスが悪過ぎて中途半端な印象。犯罪都市なのに犯罪はあまり見せないとか、悪役の悪行がふわふわした印象のままで、悪者感が皆無だったり。
「合体!」と、その後にでる字幕で笑ってしまったが…
あと、今作の評価で欠かせないのが、ゼブラクイーンを演じた仲里依紗だろう。演技やセリフ回しこそ子供っぽい印象があるが、彼女の存在感と肉感は素晴らしいものがあった。その分脚本や演出で惜しいところもたくさんあった。なので、もっと仲里依紗のアイドル映画として振り切ってくれれば、文句なしだったのになあと思った。
一作目を見た時から思っていたのだが、
特撮やローカルヒーローなどは、なにかモチーフやテーマがあって、(仮面ライダーならバッタとか)それらを上手く取り入れた戦い方をするのであって、今作はヒーローとしてのゼブラな部分がなく、ただのハイスピードな喧嘩アクションとして撮られていたのに不満を感じた。物語上では白と黒というテーマになっていたが、「ゼブラーマン」という単体のヒーローとしてはイマイチだなあと思った。
仲里依紗をもっと見たかった。
★の数は仲里依紗の魅力の頑張りに対しての評価。と言っても過言ではない。