「注意!! アクションエンタメに非ず!」ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
注意!! アクションエンタメに非ず!
辛めのスコアを付けたが、この映画って、最初にどんな心構えで観るかによってかなり評価の分かれる映画だろうなぁと思う。
1作目は良い意味でB級テイスト全開で笑えたが、『カッコ悪い奴が必死で頑張ってる』ところがなんだかカッコ良い映画だった。
ところが本作の予告編を観るとどうだ。一作目とは見るからに金のかけ方が違う。まるでハリウッド産ヒーローアクション大作のノリじゃないか。
そうか、『クローズZERO』や『ヤッターマン』を当てた三池崇史監督が、今度は大予算で『ゼブラーマン』をド派手なエンタメアクションに仕上げる心積もりなんだな!!
……そんな風に早合点して鑑賞に臨んだ僕がバカだった。最初に哀川翔が三輪車をキコキコ漕いでるシーンで気付くべきだったのだ(爆)。
三池監督はエンタメ大作的な画作りがかなり上手い監督さんだと思うが、そのテンションの高い映像に騙されてはいけない。
前作より高予算で制作されたのは間違いないが、やってることは実は1作目と大差無いんである。
「んなアホな」な使い方をする遠心分離機のシーンや最後にアレを踊り食いするシーンまで、壮絶にバカバカしいシーンまで金と手間を掛けて撮っている。
言うなれば『カッコ悪いけどカッコ良い』映画だった前作から『カッコ良く見えて実はカッコ悪い』映画に変わったような印象。
それを観て「金掛けてバカやってるなぁ」と割り切って笑えるか、「アクション大作と見せ掛けてそりゃ無いよトホホ」と肩を落とすか……観客の寛容な心が試される(笑)。
いきなり挿入されるキワどい下ネタも含め、『ヤッターマン』の悪ノリっぷりを更に増大させた映画とも言えるかもしれない。
そーいう映画だという心構えで鑑賞すれば、きっと楽しめるハズだ。笑えるシーンも多いし。
個人的に一番笑えたのは、チープ過ぎるTV版ゼブラーマンのDVDを観るシーン。これ、子どもに見せちゃダメな番組だろ(笑)。
まぁそれでも物語全体のチンタラしたテンポ(特にゼブラーマンとゼブラクイーンが対決するくだり)や、散りばめられた謎や前作との矛盾点を回収しきれていない脚本に文句を言うことはできる。
これも人によりけりだと思うが、僕にはクドカン脚本の映画がいつもダラダラ長く感じてしまう。まとまりに欠けてる、というか。
てな訳で、アクション映画ではなく、悪ノリB級映画を楽しむくらいの感じで鑑賞する事をオススメします。
<2010/5/15鑑賞>