犬と猫と人間とのレビュー・感想・評価
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本当に衝撃的だった。
もう4年前になるのですが、千葉県船橋市勤労市民センターでの上映会で拝見させていただきました。
この作品はただペットが可愛いだけの動物映画ではありません。
ペットがおかれている悲惨な現実をとてもよく教えてくれます。
確かに多少かわいそうなシーンもでてきますが、できれば目を逸らさないでほしい。
もちろんかわいそうなシーンばかりではありません。思わず頬が緩んでしまう楽しい場面もあります。
そしてこの映画が出来たことだけでも、ペットの現状を良くする大きな一歩だと思います。
自分はこの映画を観終わって、衝撃が大きすぎたのか自然と涙がこぼれていました。
そして[犬と猫と人間と2動物たちの大震災]のトークイベントで、飯田監督とお話することができ、シロエモンは現在イギリスにいて元気なこともわかりました・・・。(よかったねシロエモン・・。)
4年前に比べれば徐々にではありますが、殺処分数は減ってきていますが現在日本では年間およそ20万頭もの犬や猫が殺処分されています。
毎年減少はしているもののこの数は本当に異常です。
確かに今日本は空前のペットブームです。
そのペットブームの裏側では何万頭もの罪のない犬や猫が犠牲になっていることを1人でも多くの人に知ってほしい。
そして1匹でも多く不幸な犬や猫が減ることを願っています。
最後にこの映画を企画してくれた猫おばあさん・・・本当にありがとうございました。
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動物たちを愛する人たちに、ひたすら感謝するのみ
この作品を観ている最中、私の脳裏に浮かんだのは、「間引き」という言葉だった。
昔々、子供が多かった時代の親たちにとって、食いぶちを減らすために、女の子を遊郭に売ったり、男の子は金持ちの家の小僧へ追いやったり、それらができないときには遠くの山に捨てる、ということは当然の行為だった。近代になって、そんな非道なことが許せなくなったのだが、「間引き」という悪しき文化が、今も人とペットの間に根強く息づいていると感じるのは、捨てる理由だ。「リストラ」「離婚」「引越し」「家族が増えた」など、人間社会の普通の出来事がペットの命を縮めているのは、昔の「間引き」と何ら変わらないものだ。映画の中で話される、「日本の犬には生まれたくない」との言葉は、日本の文化への批判にさえ思えた。
そんな悪しき日本の社会のペットたちにも、希望があることをこま映画は切々と語る。そこから愛護センターの人たちだけでなく、一般の人たちの努力があることを初めて観る者にも気づかせてくれる。何より感動的だったのは、子どもたちのグループが捨てられた犬たちの世話をし、もらってくれる人を自分たちで探す姿だ。そこには、悪しき文化を凌駕する、動物を愛する優しい心をもつ子どもたちがこの国に育っていることが伺える。これは、ペットのことだけではない、我々の未来への希望にさえ感じられるものだった。
この映画からいくつもの感動を得た私は、実は小学生の頃にオス犬の「間引き」をやった経験者だ。だから、ペットを捨てる者たちに怒りはなく、ガス室で死んでいく犬たちに合掌することしかできない、情けない人間なのだが、最近、捨てたと思っていた犬が、実は母の知人のもとで飼われていたことを知って、心に開いた穴が半分ほど満たされたような気持ちになった。私の飼い犬だった彼は、大事に育てられ、18歳まで長生きしたらしい。この映画で登場する、ペットの命を救う人々には「感謝」という言葉しか見つからないのは、たぶん私だけではないだろう。
飯田監督の優しさと勇気にスタンディングオベーション
公開初日、上映前舞台挨拶つきで鑑賞してきました。
その前の上映も、今回の上映も、満員札止めの大盛況でした。
そんな盛況ぶりに気持ちを良くしたのか、
それとも作品への大きな反響に責任感が増したのか、
急遽、上映後にも飯田監督の舞台挨拶が行われました。
飯田監督みずから、上映前に作品の解説をし、
上映後に詳細の説明と、お礼を述べてくれる。
さらに、パンフレットを購入したところ、
飯田監督と一対一で作品のことを語らせていただき、
おまけに直筆のサインまでしてくれました。ありがとうございます(笑顔)
☆彡 ☆彡
なに、これ
勇気ある作品だな
よく120分にまとめられたな
わたしA+をつけるけど、評価以前にスクリーンを
最後まで直視できず、途中退席してしまう人も、いるんだろうな・・・
エンドロールが終盤にさしかかったとき、
イベントがあった回だから、絶対拍手がおきるに違いない。
誰よりも、大きく拍手をしよう。準備を完璧に整えました。
客電点灯。
よし!拍手するぞ!!と構えたら、誰も拍手をしない。
え~い、一人でしてやれ!と、覚悟を決めたその瞬間。
「みなさま、飯田監督が、皆様に急遽御挨拶をしたいとのことですので、
そのまま、席に座って、お待ち下さい」と受付スタッフから客席に声が。
飯田監督の姿が見えた瞬間、
劇場からは割れんばかりの拍手が起こり、
わたしも、手のひらが腫れんばかりの拍手をしてしまいました(苦笑)
◇ ◇
冒頭に記した感想を順に紐解いていきましょう。
“勇気ある作品”
キーワードは日本のペット業界の現状が
ペット大国=ペット天国ではないことに起因します。
野良犬、野良猫、飼い主が飼いきれないと持ち込んだ
ペットたちが、保健所で殺処分される数。1日あたりで平均すると、
1日に約1000匹のペットたちが、処分をされている計算が成り立ちます。
飯田監督がこんな話をしてくれました。
「テレビ局関係者に聞いたところ、こういった話題は、
たしかに高い関心を集める。でも、視聴率が伴わない」
つまり一般公開を前提で作るけれども、
まったく受け入れてもらえないリスクもあった、ということ。
事実、注射による殺処分シーンもあります。
殺処分をする機械・場所、殺処分直前のペットも映し出されます。
わたしも犬を飼っていたペット好きですから、
正直、ここまで映さなくてもいいじゃないか、と涙が止まりませんでした。
“よく120分にまとめたな”
取材開始は2004年です。
キッカケは下高井戸シネマにて、
ネコおばあちゃんとよばれる、お婆ちゃんから飯田監督が「不幸な犬猫を
減らしたい。だから、私のお金で映画を作ってほしい」と相談を受けたこと。
それまで、飯田監督。
ペット業界に、まったく関心がなかったそうですが、
書物を読み、関係各所に取材を申し込み、なんと動物
愛護先進国、イギリスにまで、取材をしに行ってしまいます。
わたしが、過去のドキュメンタリー作品を観た上で、
関心?感動?それとも勇気ある?と一番心が震えたのが、
飯田監督自身が取材をさせていただいているペット保護施設の
責任者に対して、その施設にて問題のあった犬に対するしつけ方法について、
飯田監督と責任者2人が映る位置にカメラを置いて、直接自分の意見をぶつけたこと。
これまで観てきたドキュメンタリーって、
あくまで対象を映すのみで、監督自らの主義主張をここまで
はっきり押し出す作品はなかったのです。鑑賞後、さらにこのシーンに対しては、
感動が増しまして、この場面。どうしても、責任者の人と1対1で話をしたくて、
撮影スタッフを同行せず、早朝を狙って、監督一人で責任者を待っていたそうなんです。
その真摯な姿勢にも胸を熱くさせられました。
☆彡 ☆彡
最後の感想は、そのままです。
この手の作品。ダメな人は生理的に受付不可なのは間違いない。
わたしのように、A+つける人もいれば、評価なんてしたくない!!
意見というか、感情的な御意見も含めて、真っ二つに評価が割れる作品でしょう。
わたしは、
飯田監督の取材関係者への優しい思いだけでなく、
犬や猫を、撮影するときに、犬・猫の目線にまで、
カメラを下げ、同目線ローアングルで撮影をする。
そんな動物に対する細かな、しかも動物のことを
心の底から真剣に考えていなければできない心配りに
こちらも素直に心の底から感動をしましたのでA+をつけさせていただきます(笑顔)
現実だから、むしろ泣けないのだ!可哀そうじゃ済まないのだ!
「人間も好きだけれど…、動物のほうがましみたい」
映画の冒頭で企画に携わった稲葉恵子という一人の老婦人の言葉が印象的だった。
この映画の一番痛いところは、いきなり最初から発せられている。
何が痛いか?
それを安易に片付けるには、もう手遅れなのかも知れない・・・人間はもはや犬や猫といった動物たちを愛玩し、その行きつく場所を自分たちのテリトリーの中で抑えてしまったからだ。
野生とは呼ばず、野良と呼ぶ。
そんな些細なフレーズが自然と浮かんできた。
ドキュメンタリー映像として、この映画はかなり質素に扱われていると思う。
カットや画像など、ごく普通に鮮明ではあるが、かなりエンターテイメント性を排除している感覚だった。
それは娯楽性(特に動物をもてはやした可愛らしさや可哀そうさを演出するような路線)からは、一線を引くようなやり方にも思えた。
淡々と語るナレーションは抑揚を感じさせない展開だ。
まるで深夜のドキュメンタリー番組と変わらない映像感覚だった。
だからこそ、テーマが明確に浮かび顛末を心まで堪能できたのだろう。
登場人物、犬や猫たち、彼らは本当に生活の匂いと供にここにあるから、それ以上は期待しないでほしい。
ただ期待できない分の埋め合わせは、ちゃんと真実として映し出されている。
安易に子犬が可愛いとか可哀そうなどという発想は浮かんでこない。
動物映画としてではなく、あくまでも問題意識が前提となっている映画だということだ。
当たり前だがミッキーマウスもドラえもんも出てこない!
彼らがいけないというのではなく、ここでは必要のないキャラだということ、それだけは念頭に入れてから観て欲しいのだ。
監督の飯田氏は様々な場所に出かかる。
犬や猫のいる場所なら多摩川河川敷にも出向いて、ホームレスにも取材する。
イギリスにも足を運び、ペット産業や行政の在り方の違いまで比較させてくれる。
その統計や数値の格差には驚愕するばかりだ・・・不況を言い訳にする日本を知ることにもなった。
もちろん動物愛護団体や殺処分する公共施設にまでカメラは向けられている。
そして何匹かの特徴的な犬や猫の成長の過程も見れる。
とにかく多角的に、現在日本の病んだペット・ブームについての追求心が収められているのだ。
遠い歴史の果てで、何処からともなく手法が編み出されて、僕らは様々な動物を利用してきた。
にもかかわらず僕らは随分と彼ら(犬猫)について、何も知ろうとはしなかったのではないだろうか?
今や産業の拡大や生活様式、様々なしきたり、そして不慮によって左右されてしまう「ペット倫理」は、あまりにも深刻である。
そこでハッキリ言っておこうと思う!
もし、家族がペットを飼いたいという場合、よく確認しておくほうがいいだろう!
良いものは良い!
ダメなものはダメなんだ!
その中間は無いってことだ。
それでも飼うというのならば、共に生きることを書面上や法的に誓うべきだ。
決定的な整備や仕組みを作らない限り、歯止めが利かないだろう。
犬や猫や人間が、モノ扱いにされない為には、運命共同体という意識を草の根から徹底させなければいけない。
学校教育で、主要五科目に入れたほうがいいのでないだろうか?
ペット飼育に関しては運転免許同様に、資格制度にするとか?
道路やダムや、空港のハブ化を問う前に、ペットとの共存についてしっかり予算を組むべきではないか?
最後まで看取れない者があまりにも多いのであれば、どこかで線引きをすべきだ!
色々と心の中で交錯しまくった映画だった。
あまりにも醜い現状だった・・・そんな中、現場の殺処分担当者の幾人かがインタヴュに答え、むしろ彼らは動物好きであったことが何よりも救いだった。
「好きだからこそ、あえて出来てしまう(処分できる)のだ・・・」という。
この言葉は純粋に正直さを伝えていた。
そこで、こう思えたのだ!
動物が好きだからこそ、あえて飼わない、あるいは買わない、ってう考え方もあって然りなんだということを。
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