誰がためのレビュー・感想・評価
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人を殺すということ
戦時下という特殊な状況のもと、愛する母国のために立ち上がることまでは容易に想像できるのだが、私自身は果たして人を殺す事が出来るだろうか…
しばらく考えて、その技量?があるなら手を染めるかもしれないな、と結論を出した。フラメンとシトロンは人殺しではなく、ナチを殺したのだ。つまりはレジスタンス活動であり、彼らは正義であった。ならば、私も同じように正義であるならば、銃を手に取るかもしれないと考えたのだ。愛する母国を守り、愛する者を守るため。
だが、常に戦争には利権が絡む。利権が戦争を産むと考えてもいいくらいだ。フラメンとシトロンはその渦に巻き込まれ、彼らにとっては殺す必要のない人々をも殺害してしまっていた。正義が脆くも崩れ去る瞬間だ。
正義は崩れ、愛する者も失い、それでも彼らは自分の信じた道を戻ることは出来ない。
真実は人の数だけある。だからこそ、人は惑い、苦悩し生きていくのだろう。自分を失いそうなくらいの混乱した状況下で芯をぶらさないで自分の正義を貫けるだろうか。
そんなことを考えた映画だった。
誰を信じ、誰を疑い、誰を殺すのか
これから見るなら覚悟した方がいい。すっごく、重いから。
舞台はナチスドイツ占領下の1944年のデンマーク。
祖国のため、信ずる正義のためにレジスタンスとして戦うフラメンとシトロンが主人公。
彼らは、反攻作戦の本部イギリスから指示を受けてナチスに荷担するジャーナリストやドイツ軍人を暗殺していく……
第二次大戦でもドイツやアメリカ、日本が注目されることはあってもデンマークはなかなか見ない。
自国が蹂躙されることに絶望し、憤怒して終わりのない「戦争」に身を投じていった2人は様々な敵と戦うことになる。
主人公の2人はハッキリ言ってあまり賢くない。
人を見る目がないのだ。故に騙される。
それでも最後まで、迷いながらも自分の生き方を貫いたからこそ、決して可哀想には見えない。これは想像だが、2人はきっと幸せだっただろう。
人間は戦えなくなったら終わりなのだ。
信念と守るべきものを持って戦い、非業の死を遂げたからこそ2人は国の英雄になれた。
英雄は死をもって完成する。生きた英雄なんてものは存在してはならないから。
日本人の知らない戦いがこの映画にはある。是非、若い人に見てほしい。
戦争映画は平和と世界を知るうえで恰好の教材になるはずだから。
鑑賞劇場:テアトル梅田
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