「結構ユーモラスなストーリーと簡潔なラスト。わざとらしくない演出がよかったです。」理想の彼氏 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
結構ユーモラスなストーリーと簡潔なラスト。わざとらしくない演出がよかったです。
結構ユーモラスなストーリーと簡潔なラスト。わざとらしくない演出がよかったです。 邦題のような彼氏選びのストーリーではなく、年齢差のある二人が出会うことで、互いの人生観が刺激されて、ステップアップしていくストーリーでした。
宣伝にあるような、サンディの前夫が経済力と包容力のある「理想の夫」かというと、ダサいエロオヤジにしか見えないのです。サンディも漫然と結婚したとしか語っていません。理想の相手を求めて結婚したが、勘違いしたような宣伝文は、ちょっとニュアンスが違っていましたね。
そしてサンディが恋に落ちる24歳の頼りないフリーターと宣伝ではされているアラムは、なかなかのイケメン。しかも大手企業の面接にも合格していたというから、しっかりとした人格や才能の持ち主です。ただ米戸籍を得る目的の為だけに結婚した妻に本性を打ち明けられて、若くして離婚を経験したことがショックでフリーターになっていたのでした。
そんなアラムにベビーシッターを頼むサンディもアラフォーなのになかなかの美人。年を感じさせません。離婚後放送局で情報リサーチの仕事を始めたサンディにとって、子供の世話はベビーシッターが頼りでした。
そんな期待応えて、アラムは演劇の経験を活かしてパフォーマンスを披露し子供たちをたちどころに懐かせてしまいます。
さらに子供扱いが上手いばかりか、料理も上手だし、会話も知的。サンディが信頼から恋心へ変化させるのに時間はかかりませんでした。
15歳も年齢差があるのにとっても二人の関係が自然に見えるのは、サンディとアラムの並外れた魅力あるキャラ同志である事と同時に、バート監督のことさら年齢差を見せつけて二人の葛藤を強調しない、巧みな演出が成功しているからだと思います。
それはラストまで徹底しています。流産と共に、現実に振り返ったサンディは、アラムの将来を考えて、別れてしまいます。ラブストーリーの王道的展開ですね。
普通だったら、とってつけたような偶然で再会したふたりの復縁から、ハッピーエンドになるものです。ところが二人は双方の仕事で成功する道を選び、なかなか想像したとおりの展開とはならないのです。
やっと5年くらい経って、再会したときも通り一遍の挨拶を交わし、共に家族も交えて食事をするだけ。えっこれで終わっちゃうのと思ったら、テーブルの下をカメラは覗くのです。
サンディとアラムと表面のよそよそしさとは裏腹に、テーブルの下の見えないところではしっかりと手と手とを重ね合わせていたのでした。
これから先は、ご想像にお任せするとして、二人の再会シーンの味な絵描き方に、上手いなぁと感じた次第です。
本作は、ウイットに富むシーンが続いています。最近のラブストーリーは、コメディよりも可笑しい作品が増えていますね。
例えば、離婚後友人に強引にセッティングされたお見合いデートのシーン。お相手は、ダンディでなかなかいいムードだったのに、いきなり公衆トイレに飛び込み、クソを垂れながら、サンディを口説こうとする無神経さや、手も洗わずにトイレから飛び出して、サンディの顔や体にべたべた触れ回る気持ち悪さに、試写会場は大爆笑に包まれました。
あとサンディとアラムの初エッチのとき、そばでばっちりサンディの息子が二人の行為を観察していたシーン。二人の行為が真剣に盛り上がっていただけに、見られていたことが分かって焦りまくり、挙句の果てに飛び出す言い訳のセリフが可笑しかったです。
サンディの子供たちは、幼くしてセックスのなるたることか理解しているおませな子供なんです。
さらにサンディの息子がボーリング玉を横に飛ばして、ガーターしてしまう必笑シーンも、お見逃しなく!(本作はギャグ映画ではありません。念のため。)
少なくともアラフォー間近のマイミクさんにとっては、勇気と希望が出てくる作品です(#^.^#)
30歳越えてだらだらと交際や同棲を永年続けている人がいたら、すぱっとサンディのように別れて、新しい出会いに賭けてみるのも一手ですよ。あなた様もなかなに捨てたモンではありませんぞ!可能性は無限にあるわけですから。