「笑いと恐怖の瞬発力に終始圧倒」スペル(2009) ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)
笑いと恐怖の瞬発力に終始圧倒
「スパイダーマン」シリーズでハリウッド・ヒットメイカーとしての地位を不動のものにしたサム・ライミ監督は、実はこんなB級カルト映画ぽいのもイケちゃう。構想10年。てか、むしろこれが本職。原題は「Drag Me to Hell」。まさに「地獄のどん底に引きずり落としちゃう」映画。でもコレ、単なるホラーじゃない。
銀行員のクリスティンのほんの些細な不親切が悪夢の発端。奇妙な老婆に呪い(スペル)をかけられ、その呪いを解こうと必死に四苦八苦するクリスティンの3日間のお話。
この作品で特筆すべきこと、それはサム・ライミの仕掛けた「笑い」。劇中、何度笑ったことか! 怖さよりなんとも言えない滑稽さが際立つ作品で、明らかにサム・ライミのコメディセンスが幾度となく小爆発を起こす。主人公と老婆の決闘、除霊、クラシックなオカルトに見え隠れするライミの遊び心に結構ハマる。ただ、ホラー苦手な人には充分に怖い作品なので、ご注意。
主人公の銀行員を演じるアリソン・ローマンの腑抜けた感じがまた笑える。このマシュマロみたいな女性が、壮絶な呪いの日々をサバイブしていくという典型も、今となっては新鮮。「チャイルド・プレイ」「死霊のはらわた」「キャリー」「13日の金曜日」あたり好きな方は必見。ちなみに米映画批評サイト「ロッテン・トマト」の鑑賞後満足率92%というのは、納得できる。笑いと恐怖の瞬発力とスピード感が、ハンパないもの。
コメントする