「サム・ライミの原点回帰」スペル(2009) ヨギベアさんの映画レビュー(感想・評価)
サム・ライミの原点回帰
『ダークマン』のサム・ライミ監督が帰ってきた。ベタで単純でギミックに溢れ、観客のワクワク感を逸らさない。ジェットコースターに乗っているかのように振り回されながらも、意表を突きそうで突かないというか、こちらの思った通りに話が展開していく…(けなしているわけではありません)。実に心地よい。
なにしろわかりやすい。あらゆる人物、小道具が明確な記号論通りの役割で出てくる。悪魔といえば山羊角が生えているに決まっているし、死人の口からは気味の悪い液体が出るもの。わけわかんない行動をするのはジプシーをはじめとした外国人だ。不自然に張られた伏線はそれっぽいのですぐわかる。
もとより話運びで見せるスタイルというよりもビジュアル派の監督で、ただでさえくだらない話をさらに輪をかけてくーっだらなく絵作りすることに心を砕くタイプなのだ。
『痩せゆく男』と『マニトウ』を足して2で割ったような面白い映画だが、痛快度数はライミ作品としてはスタンダードだろう。完成度は低くても初期の『死霊のはらわた』や『ダークマン』の方がもっと弾けていた。ダークマンがヘリコプターに吊り下げられるシーンを思い出す(空中を振り回されビルに激突し、高度を下げられて地面に足が付けば脅威の走りを見せる!)。
ライミよ、どうかこの路線で突っ走ってほしい。そして笑える恐怖を究めてくれ。
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