「安い演出だが、心理戦は楽しめる」ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5安い演出だが、心理戦は楽しめる

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

興奮

知的

総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 65
演出: 40
ビジュアル: 65
音楽: 65

 原作もテレビドラマも知らない。でも最初からそのすごくわざとらしくて安っぽくて漫画っぽい演出と演技とセットに戸惑った。とりあえず予算の無い深夜ドラマのB級感丸出しな雰囲気を、何故かそのまま映画でも引き継いだというような感じなのだろうか。

 一番最初の五人対六人の状況でどうやって松田翔太が少数派の中心人物としてお互いを疑っている他人をまとめたのだろうかとか、そもそもこれだけ狡賢いやつらがそろっているのに、誰が何を投票したかを自分たちで確認もせずに主催者任せで信用していいのかとか(私ならば主催者の発表など絶対に鵜呑みにしない)、後で現金の受け渡しはしないとかいうような主催者の出した条件にみんなあっさり従っちゃうのねとか、ねたばれになるから詳しくは書かないけれど、赤と銀のりんごの入れ替えがそんな簡単に出来るのかとか(燃やしたら熱いだろ)、それなりにたくさん物語には突っ込みどころがある。
 また1位の賞金が50億円と多いとはいえ、そこにたどり着くまでの道程は遠く危険があまりに大きい。ちょっと投資の計算の出来る人間ならば、1位の絶対的賞金金額ではなく、賞金金額×危険因子倍数をかけて賞金総額の期待値を計算するはず(例えば11人が参加したゲームで1位になれる確率が1/11ならば、賞金50億円×1/11を計算して約4.6億円を手に入れられるものとする)。みんなで赤のりんごを投票して13億円もらったほうが普通に考えれば有利なのに、何故みんながそれほどにまで危険を冒して裏切りが続出するのかも疑問。それほどに期待値に差があっても、自分だけはみんなを出し抜けると思ってるほど自信家がそろっているのか。

 だが「囚人のジレンマ」とかの心理学や数学を物語に織り込みながら、心理戦を展開する様は楽しめた。重圧の中で相手の考えていることを読んで作戦を考えて出し抜いていく、そんな知能の限りを尽くすという戦いは見もの。

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Cape God