「回想形式による縛りが辛い」幸せはシャンソニア劇場から 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
回想形式による縛りが辛い
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話の展開を回想形式にしてしまった為に、かなり歪な映画になってしまっている。
ある男の告白によって明らかになる物語。
その為に有り得ない映像が多々起こり、戸惑う事になる。
しかし、冒頭の『巴里の屋根の下』を彷彿とさせる映像や、劇場内に於けるレビューシーン等のノスタルジックな雰囲気の仕掛けに騙されてしまう事で、強引に成立させている。
それでも中盤以降は、1人1人のキャラクターに、そして歌の魅力にしばしば時間を忘れさせる。
回想形式はやっかいだ。劇的な効果を齎す反面で、どうしても“縛り”が生じてしまう。
この作品の様に、最後に“ある事実”を効果的にする為に仕掛けられたのであれば、映画自体が特に時系列等を崩す訳でも無く。また映画の途中で観客に対してミスリードを引き出している訳でも無いので、特に回想形式にする事で得られる効果は余り無かったのでは?と思ってしまう。
寧ろ自らの“縛り”によって生じた綻びの方が目立ってしまっている様な…。
“縛り”が取れて、全てが明らかになった最後の大団円が素晴らしかっただけに、勿体無く感じてしまった。
出演者全員によるカーテンコールが無いのも残念でした。
(2009年10月5日シネスイッチ銀座2)
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