「突然犯人にされていることに気がつくところは良かったのだが」ゴールデンスランバー(2010) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
突然犯人にされていることに気がつくところは良かったのだが
総合60点 ( ストーリー:50点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
最初は緊迫感があって面白いと思ったし期待は高まった。いきなり重大犯罪に巻き込まれてしまった青年の、何が起きたのかも分らないまま混乱し動揺しながらも、とにかく命の危険を感じて逃げ出す姿の描き方。それが本人目線に立っていて、本当にいったい何が起きたのか、これからどうすればいいのか、どうやって逃げればいいのか、まるで自分の身に何かが突然おきているかのように思えた。
だがその後はどんどん喜劇調の緩い話になっていく。いきなり通り魔が出てくるし、20年はほったらかしであったであろう車が簡単に動き出すしで、もう無茶苦茶。そもそも大勢の観ている前で、警察が容疑者とはいえ一市民を突然銃撃する。しかも散弾銃まで持ち出す。現代日本でこんなことをやっていたら、あっというまに映像記録を残されて大問題になるのでは。
物語も疑問を多く残す。何故主人公の青柳はオズワルド役に選ばれたのか。味方のいない孤独でもっと疑いやすくて怪しい身の上で、テロリストとかこの役に最適な人物なんて他にもいるでしょう。花火に使う黒色火薬を扱ったことがある程度の経験で、車を簡単に吹き飛ばす破壊力のあるラジコンヘリで運べる小型爆弾を作れるなんて無理です。首相を殺さなければならない動機もない。そもそも誰が何の目的で首相を殺そうとしたのかもわからないし、不自然な警察の行動が指摘もされない。花火一発くらいでみんなの目がそらされるし、携帯音楽プレーヤー程度で拳銃弾(警察用なので恐らく38口径)を防いでしまう。突っ込みどころには事欠かないし、敵の正体もわからないままの物語は中途半端。