劇場公開日 2009年11月28日

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「天才的な「空気感」の描き方」東のエデン 劇場版I The King of Eden オレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0天才的な「空気感」の描き方

2021年6月3日
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鑑賞方法:映画館

知的

100億円の持ち金でより良い日本を作り上げる義務を課された12人のセレソンたちによる頭脳戦を描いたSFアニメの巨匠、神山健治監督によるオリジナルアニメの劇場版第1作目。

『攻殻機動隊』を始め革新的なSFアニメを手がける神山健治による政治色サスペンス色の強い世界観に、『ハチミツとクローバー』などで人気の羽海野チカのアイコニックなキャラクターデザインが組み合わさることで驚くほどポップでいてヘビーなメッセージ性を伴った作風で人気を博した2009年の深夜アニメの劇場版1作目にあたる今作。
DVDでの初鑑賞当時、大学卒業間近の身もあってか大学4年生で就活真っ只中の咲ら東のエデンメンバーたちの不安な気持ちに同調したり、劇中の大きな出来事として取り上げられている迂闊な月曜日に対して咲が「もっと何かすごいことが起こらないか」と不謹慎な期待を抱いたり、その迂闊な月曜日当日に20万人の人間を避難誘導した勇敢なニートたちをテロリスト呼ばわりする世間やネットの思いやりのない言葉など、人々が口にしないできない「空気感」を演出することが天才的にうまく、アニメらしからな綺麗事だけでは済まない物語に大いにハマっていた。

本作はそのアニメラスト以降の物語で本編ラストでの滝沢の王様にしてよというジュイスへの申請により、滝沢が実は日本の首相の隠し子であったという事実が判明するという新たな展開から始まる訳だが、再び記憶喪失になった滝沢や舞台がニューヨークから始まる点などアニメのストーリーを別の角度からなぞった様な描写が見受けられ、TVアニメシリーズと少し別モノなのではという印象を受けた。
ストーリーとしても王様申請を撤回しようとする滝沢と咲の2人と全く別の思惑で彼らを妨害するセレソンNo.6など劇場版と銘打ったものの地味な印象が強かった。

TVシリーズが好き過ぎる身としてはアナザーストリー程度に受け入れつつ、2作目に期待しておきたい笑。

2015年02月08日(日)1回目
2019年11月24日(日)2回目@キネカ大森

オレ